TORJA東北復興通信
「復興の森」と「森の学校」の歩み
―「アファンの森財団」大澤 渉氏より
HP: www.afan.or.jp FB: www.facebook.com/cwnicol.afan.revival


●第3歩「心に希望の木を植える」活動(後半)
震災から1年と3ヶ月程が過ぎた2012年6月下旬、C.W.ニコル氏は被災した東松島市の小学校5校のために「出前授業」を行った。当時、東松島市は14校中3校が使用できなくなり、仮設の校舎で授業を行っていた。この年の2月から活動を開始した「森の学校づくり」は、東松島市の動きがどんなに早くても完成までに5年以上かかると見込まれた。そうすると、仮設校舎に通う子ども達の中には卒業してしまう子ども達も沢山いる。「今こそ、子ども達に夢と希望をもってもらいたい」という想いで、ニコル氏は東松島市まで足を運び、333人(小学校5校、4〜6年生)の子ども達に「森は蘇る」という熱いメッセージを届けた。そこには子ども達の輝く瞳があった。
また、2013年7月下旬、同市で「森と海のキャンプ」を実施し、東松島市と気仙沼市の子ども達が参加した。東松島市は海に面し、震災当時、海岸一帯は壊滅状態であった。その後の尽力により、宮城県では2012年に1カ所、2013年夏、追って2カ所、計3カ所の海水浴場が海開きをしたが、津波を経験した東松島市の人達に海に行こうという気持ちはなかった。そんな中でのキャンプの開催だった。同市民にとって海は切っても切れない関係だ。「海は恐怖の対象ではない。森と海は繋がっている、海も森と同じように大切な自然環境であることに気づいてもらえたら」、そんな想いがあった。
出会った時には、互いに距離をとっていたように見えた両市の子ども達も、3日間を森と海で一緒に遊ぶうちに昔からの友達のような雰囲気になっていったそうだ。「森と海のキャンプ」では、震災以降、初めて海で泳ぐ子どももいた。心配していたスタッフの前で、存分に海を楽しんで笑顔になった子ども達の姿は、そんな心配を吹き飛ばした。ニコル氏の「津波を経験し、海の恐ろしさを知っていても、勇敢に海で遊ぶ姿を見られて嬉しかった」という言葉に、目に涙を浮かべる親御さんもいたそうだ。プログラムを企画した大澤氏は「子ども達は常に前進し、成長していると改めて感じた。子ども達の可能性はこんなものではない。もっともっと伸ばしていきたい」と語った。
アファンの森財団の「震災復興プロジェクト」は、28年かけて再生したアファンの森から授かったノウハウで、東北の傷ついた自然を蘇らせる“森の再生”と、その森の力を借りて被災した子ども達の笑顔を取り戻す“心の再生”、この2つの視点を軸に取組まれている。「心に希望の木を植える」活動は、豊かな森が持つ“森の癒し”を、被災した子ども達に届けること、また再生された豊かな森の可能性を体感してもらい、被災した故郷がいつか同じように蘇る未来を心に描き、希望を持ってもらうことを願って続けられている。
次回●第4歩 「ニコルの森の学校プロジェクト」委員会事務局の取組みをお伝えします。
「奇跡の短角牛(たんかくうし)」
柿木さんちのCSA 広報担当 木戸 亜由美さんより
柿木さんちのCSA: taberu.me/tohoku/csa/kakiki
FB: www.facebook.com/IwateTankakugyu.taberu.me.csa


「短角牛」とは、旧南部藩時代に、物資運搬に使われていた「南部牛」と明治以降、輸入されたイギリスのショートホーン種を交配、品種改良を重ねて生み出された日本固有の肉専用種のことだ。岩手県での生産が全体の6割ほどを占める。その生産者のひとり柿木敏由貴氏は、岩手県旧山形村小国、現久慈市で「夏山冬里方式」で短角牛を育てており、その肉牛は「奇跡の短角牛」と呼ばれている。
なぜ「奇跡」なのか?それには、2つの理由がある。1つは、先の「夏山冬里方式」と呼ばれる飼育方法にある。夏、豊かな新緑と高原の空気と水という恵まれた大自然の中で親子一緒に放牧し、無農薬の牧草と母乳だけで育て、冬は暖かい牛舎に戻し、100%国産の飼料を餌として与え、立派な肉牛に育ててゆく。短角牛は国内流通の1%にしか満たないそうだ。その牛を、手塩にかけて品質を高め、保っていく。2つには、赤身肉の美味しさだ。脂身が少ないのに、旨味が十分にあり、健康上の理由で脂分を避けたい人からも人気がある。通好みの味とも言われ、イタリアンやフレンチのシェフから高い評価を受けている。この短角牛の旨味の秘密は、生育時に子牛をストレスなく、伸び伸び育てることにあるそうだ。そのように育った子牛は、不思議なことに雑味のないジューシーな旨味を醸し出すらしい。
この自慢の短角牛を、柿木氏は、「CSA」という考え方で消費者と密なコミュニケーションを図りながら、普及に尽力している。食べ物付き月刊誌「東北食べる通信」で知られるNPO法人東北開墾が提唱するCSAは、「Community Supported Agriculture」の略称で、「自分が選んだ食べもののつくり手と交流しながら、食べるものを作る楽しさや苦労、収穫の歓びを分ちあうコミュニティ」の形成を目指している。柿木氏も、自身の短角牛が東北食べる通信で特集されたのをきっかけに、このCSAを採用した。柿木氏は、自身の短角牛を選んでくれた消費者にメッセージを発信し、イベントを積極的に催し、交流を重ね、ビジョンを共有する。消費者は、柿木氏に共感し、生産に関心をもつ仲間へと変わってゆく。
良いものを安く手に入れることは、確かに賢い買物方法の1つだが、「安さ」だけを追求した先にある未来は、大量生産、これに引き起こされる自然環境への負荷、過当な価格競争、結果、品質の低下を招く、といった負の循環だ。未来を選択するのは、いつも今を生きる私達だ。「高かろう、良かろう」ではない。確かな品質に対して、適正な価格を支払い、正の循環を生むきっかけに関わることも選択できる。東北は、震災以降、模索し続けている。柿木氏は、福島原発事故による風評被害にも定期的に放射能測定を行い、安全性を目に見える形で提示している。前向きに挑戦し続ける生産者のひとりだ。
8月の定点カメラ
@リアスNPOサポートセンター事務局長 川原 康信
HP : kickoff-rias.com/fukkocamera
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被災前は人口15,200人の町でした。災害で1,300人が犠牲となり、現在は12,4000人になりました。今は、町全体のかさ上げ工事が進んでいます。かつての駅に線路は戻ってくるのでしょうか。駅周辺に人の賑わいは、戻ってくるのでしょうか。そんな疑問や不安を抱えた被災地に、必死のギアを更に上げろと号令がかかります。
















