「幸せってなに?」カナダ発 現代を生きる女性から見る幸せになるためのファクター|特集「SDGs・女性とジェンダー平等 in Canada」
私たちは世の中が目まぐるしいほど変転する時代に生きている。世界中の情報が得られる中でいままでの「当たり前」に疑問を抱き、行動することで自分たちがとらわれていた常識の答えはひとつではないということが証明されてきている。
「幸せのあり方」もそのひとつで、ちょっと前までは女性の幸せは「結婚すること」、「出産して家族をつくること」とされていたがそれも、結局昔は働き手が必要だから女は結婚して子供を産まなければいけない、そうでないものは役立たずと言われんばかりの周囲からの圧ありきの常識となっていったのではないだろうか。
だが、そんな時代も変わり、多様さが大事にされているいま、女性たちの幸せはどう変わっているのだろうか?仕事、家族、友達、趣味、遊び、今回は、カナダ人女性の意見をもとに現代の幸せを覗いてみた。
お金はやっぱり幸せの鍵!
2020年に行われたCIBCの調査では実に10人中6人の女性が経済的安心は幸福感を感じることに貢献していると答えた。そして、多くの女性がもっと早くから貯金や投資を始めていれば良かったと答えたのだ。
その背景には、彼女たち自身の経済力への不安が影響していると思われる。最年少で18歳から多くの女性が退職後の緊急時のお金を心配していて、一番の理由が自分の家族や周囲に迷惑を掛けたくないからだと答えた。これは、「結婚をして安定を手に入れる」という従来の考え方が変わり、自分の世話は自分でするといった考えが根本にあるのだろう。
まさにいま世界で色んなことが起こり、何が起こるかわからない世の中を生きるこれからの自立した幸福の鍵として個人の資産形成、投資戦略の知識を増やすということが必須になっている。
結婚は必要?
結婚の価値観をみてみると、2018年に行われた調査では53%の成人のカナダ人が結婚は必ずしも必要ではないと答えた。そして、1520人のカナダ人を調査した内、10人に4人が未婚であり、生涯で結婚したいかまだ分からないと答えたのだ。
その中でも特にミレニアル世代はかなりオープンマインドで結婚はして当然といった伝統に縛られない考え方をしている傾向にあった。女性の考えでは、全ての年齢層で、「結婚は重要ではない」と答える人が過半数であった。
原因としては、やはり、女性がキャリアで活躍していく中で自立率も高くなり、シンプルに結婚をするということが人生の選択肢の中で重要性が薄くなってきていることにあるという。
また、結婚式を挙げるとなると多額のお金が必要なためその点も結婚の必要性に疑問を抱く理由のひとつになっているそう。
カナダ人女性の多様な幸せ
カナダの雑誌「Chatelaine」が行った35歳から45歳の1,000人の女性を対象にした、愛、お金、健康、キャリア、子供、性などに関しての調査では、州によって結果が大幅に異なるという面白い事実が明らかになった。そこで今回は、ほかの州から学べる幸せの見つけ方を紹介しよう。
「エクササイズ」
ほかのカナダの州に比べて比較的温暖な気候であるブリティッシュ・コロンビアでは、外に出て様々な運動をする人口が多いという。
人類が幸せを感じる瞬間のひとつとして他者との繋がりを感じたときと、身体を動かしているときが挙げられるが、ただジムに行くだけでなく、外に出て太陽の下でたくさんの人とコミュニケーションをとる事でハッピー度がさらに上がるようだ。
オフィスでは、週末に新しくできたトレイルに行くことだったり、どんなスポーツをするかといった会話で盛り上がることがよくあるんだとか。
「夜の営み」
アルバータ州では、ほかの州に比べてカップルのセックス頻度が高く満足度が高いという結果が出ている。その気になる理由は一体何なのか。まず、頻度が高い理由について述べられているのは、アルバータ州はほかの州に比べて収入率が高く、経済に関するストレスがほかの州よりも少ないということがある。そして、ストレスが少ないとカップルの関係も良好になるのだ。
また、アルバータ州では石油関係の仕事が多く、家を何日か離れて仕事することもあり、ずっと一緒に居られないことから帰ってきて一緒に過ごす時間を大切にするルーティンが関係しているという。実際、71%とのアルバータンが性生活がカップルの良好な関係を維持できている秘訣だとしている。
そして、人間の三大欲求である「性」の部分をしっかりと満たすことは純粋な幸せや喜びに繋がるとされている。
「食、料理を楽しむ、そしてワインを飲む」
ケベック州はフランスの影響を濃く受けていて、食のタイプもほかのカナダの州とは全く異なる。そのため、子供の時から多種多様な料理を楽しみ、常に美味しいものを探す探求精神に長けているんだとか。
ケベックの人々は新鮮な良い材料を選ぶことにとてもパッションを感じている。そして、ヘルシーで美味しい料理を家族で囲んで食事をする。生活の中のシンプルな事柄を丁寧に行うことで生活の質の高さに繋がる。食事は、人間の生理的欲求を満たし、家族とのコミュニケーションをしっかり取ることで幸福感がさらに満たされる。
また、フランスの影響を受けているだけあってワインを普段から楽しむ文化があり赤ワインには幸せホルモンの一つとされるオキシトシンの効果を高めるポリフェノールが豊富で、そちらもケベックの人々の幸福度に貢献しているのだろう。
「育児のしやすさ」
アトランティック・カナダでは、親の育児への満足度がほかの州に比べて高いという結果がでた。その理由は、まず、小さいコミュニティーの中で他人との関わりが密にあること。自分の子どもを自分たちだけでなく、コミュニティーと一緒に育児できる感覚があるんだとか。そのため、育児に関するストレスがあまり高くなく、リラックスして育児を楽しめる傾向にあるそう。
また、そのようなコミュニティーでは、競争心をあまり持たず、ほかの人と比べるということをしないんだとか。そのため、誰が劣ってる、誰が勝ってるといったギクシャクした関係もなく心広く育児ができることも幸福度に影響しているだろう。それは、子供たちにとっても良い環境ではないだろうか。