【第39回】フライトリスクとトラベルコンセント|カナダの国際結婚・エキスパート弁護士に聞く弁護士の選び方
お子さんとの夏休みの計画はお済みでしょうか。新型コロナウイルス感染症が海外旅行に与えていた制限が解消される今シーズン、今年こそ日本への一時帰国を、と計画している方もいらっしゃると思います。
PCRテストやワクチン接種証明などの規制は解除されますが、お子さんがカナダを出国する時、忘れてはならないものに「トラベルコンセント(渡航同意書)」があります。
そこで今回は、「トラベルコンセント」についてオンタリオ州スペシャリスト認定弁護士、ケン・ネイソンズに聞いてみました。
トラベルコンセントってなに?
子供が国境を越えて旅行する場合に携帯するトラベルコンセントは、渡航先の入国管理局やカナダに再入国する際に航空会社から要求されます。特に一方の親だけが子供と旅行する場合は、もう一方の親が「他方の親と子供が旅行することに同意した旨」を示すコンセントレターは必須アイテムです。もし、もう一人の親が亡くなっていたような場合は、亡くなった親の死亡診断書のコピーを携帯します。
ところで、ここでいう「子供」とは18歳以下を指します。これは子供の定義が入国する国によって異なるためだそうです。
さて、コンセントレターでは、誰が誰にどんな許可を与えるのかを具体的に示すことが必要です。「両親」が渡航許可を与えるのは「子供」です。ですから、まずコンセントレターには、子供の名前と生年月日、パスポート番号など、子供の情報を記載します。子供に同行者がいる場合は、同行者と子供の関係や同行者のパスポート情報を加えます。滞在先で使用できる携帯番号やEメールアドレスも記載しましょう。
そして、出発日と帰国日、渡航中の滞在先の住所や電話番号などの詳細を記します。渡航先の国の国内旅行などでいくつかの場所を訪れるなら、その旅程や宿泊先の住所や電話番号も必要です。
フライトリスクとトラベルコンセント
このようにトラベルコンセントとは本来、両親が子供の海外旅行を許可する文書です。しかし、家族法の世界で最も取り沙汰されるのは、別居・離婚家庭でのひとり親とその子供の旅行に対する他方の親からの渡航許可です。頻繁に起きるトラブルに「夏休みに子供との一時帰国を予定していたのに、もう一方の親の許可が得られない」というのがあります。
カナダに残る親が子供の渡航を許可しない理由は、「渡航したまま戻ってこないかもしれないという懸念」つまり「フライトリスク」です。このフライトリスク問題は、「親による子の誘拐問題」がメディアで紹介されるようになった2000年代の後半から頻繁に発生しているトラブルです。しかし、トラベルコンセントが得られないからといって子供との日本への一時帰国などの海外旅行を諦める必要はありません。
子供と同行する親がカナダで就職しているなど、その親の「カナダ社会との十分な関わり」が証明できれば、裁判所がフライトリスクの疑いを却下し渡航許可を与えることはめずらしくありません。
裁判所命令として渡航が許されれば、将来の旅行計画にもポジティブな影響を与えます。「毎年夏休みに3~4週間の一時帰国を許す」などといった具体的な裁判所命令も可能なのです。
「フライトリスクとトラベルコンセント」をはじめとする家族の問題は、日本人有資格者(オンタリオ州公認パラリーガル)が在籍する家族法専門法律事務所、ネイソンズ・シーゲルLLPにお任せください。
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