【オピニオン】たかが2000ドル、されど2000ドル。観光ビザ保持者はカナダ緊急支援金CERBの申請条件を満たしていないとの見解多数 | 新型コロナ
緊急を要するために誰でも申請ができてしまうので注意が必要
新型コロナウイルス感染拡大の影響に対してカナダ政府が打ち出した施策の一つ、Canada emergency response benefit (CERB) 。最大4ヶ月・月々2000ドルが給付されるこの制度、COVID-19によって収入や仕事を失った人を条件にすでに600万人以上が申請し、給付が始まっている。
昨日4月15日にはトルドー首相が会見で申請条件を緩和、これまで収入・仕事を失った人を対象としていたところを、月収1000ドルまで認める措置をとり、申請資格者の幅を広げた。
【カナダCERB条件緩和】月1000ドルまでの収入を認める。 月2000ドル・最大4ヶ月の新型コロナ・緊急支援金
この緊急支援金制度CERBは主な申請条件としては15歳以上のカナダ在住者、2019年もしくは直近12ヶ月以内に5000ドルの収入があった人、新型コロナで収入がなくなった人などなどのいくつかの条件を満たせば申請できるとして、例えば一時滞在者であるワーキングホリデーの人や学生ビザの人でも申請・受給が可能になる。
<詳しくはこちら>新型コロナ・カナダ給付金CERB 最大4ヶ月・月2000ドル、申請受付中
観光ビザでも申請。実際給付されたという声も!?
皆さんもご存知のようにカナダにいる日本人の中にはワーキングホリデーの方や留学生、そして観光ビザやテンポラリーのビザの方も多い。まず大前提に知っておかなければいけないのは、今回の緊急支援制度は日々の生活に緊急を要する人のためにカナダ政府が給付をスピード感を持って行うことを最優先に申請を非常にシンプルにしているということだ。そしてこの給付金は税金で賄われている(もしくは賄われる)ことも知っておかなければならない。
申請条件だけを見ると文言では「観光ビザ」の人はその要件を満たしているだろうと考える人もいるかもしれない。しかしながら、就労をすることを認められていないビザである点からも、そもそも在住者としてカウントされていないと考えることが普通であろう。
今回のような事態で政府から給付金や支援制度を受ける場合、
例えば「日本国籍・観光ビザ」でカナダ(もしくはWH制度のあるオーストラリアなど)に在住していて、フリーランスとして仕事を請け収入がある場合、どの国で確定申告・納税してるかを基準にして考えるのが良いだろう。基本的にこのケースの場合はカナダに納税はしていないと想定され、日本で確定申告をするのが一般的なので日本の支援制度を受けるのが社会的常識であり、カナダの税金から給付を受けることが不正と言われてしまうだろう。
参考・トロント日本商工会専務理事・伊藤氏のブログに法律事務所の見解が掲載中
TORJAでもコラムを執筆していただいている伊東氏のブログ「カナダはいいぞ〜。トロントはもっといいぞ〜。」によるオンタリオ州そしてトロントのCOVID-19最新情報は必読です。
伊東氏のもとにも同様の問い合わせや声が集まっているらしく、法律事務所に見解を求め、本日のブログで回答が掲載されている。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓(以下、転機)*掲載ページはこちら
CERBの対象者についてですが、法律事務所からの返答では、政府の基準は以下のようになっているとのこと。
The benefit will be available to workers:
Residing in Canada, who are at least 15 years old;
(これは定住しているという定義で、VISITORは含まれない)
Who have stopped working because of COVID-19 and have not voluntarily quit their job or are eligible for EI regular or sickness benefits;
Who had income of at least $5,000 in 2019 or in the 12 months prior to the date of their application; and
Who are or expect to be without employment or self-employment income for at least 14 consecutive days in the initial four-week period. For subsequent benefit periods, they expect to have no employment or self-employment income.
This is taken right out of the legislative definition of worker and there is nothing excluding anyone on a work permit in the legislation although there is a power to exclude categories of worker by regulation.
From the FAQ section:
To be eligible for the Canada Emergency Response Benefit, you must reside in Canada and have a valid Social Insurance Number.
Workers who are not Canadian citizens or permanent residents – including temporary foreign workers and international students – may be eligible to receive the Benefit if they meet the other eligibility requirements.
となっており、短期就労査証と(限定条件ながら就労が認められる)学生査証を含むWORKERSが対象で、たとえSINをもっているとしても、滞在ステイタスが現在”VISITOR”となっている人は対象にならないと解することができる
とのことです。
申請に関する審査は後日行われることになっており、もし対象にならないと認定されると全額返金する義務がありますので、十分ご注意ください。
↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑↑(本文ここまで)
*注)この事態は様々な配慮がとられるのでケースバイケースとなる可能性があることはご留意ください。
結論
上記見解からもほぼほぼ基本的には「観光ビザ」の人はCERBの申請条件を満たしていないと思われる。また「CRA」と呼ばれるカナダ国税庁(簡単にいえば税務署)は受給者の申請資格調査等は後々行うとしており、どのようなビザであれ申請条件を満たしていることが、長い目で見れば重要だ。日本に帰国していたり他国にいてもSINナンバーの届け出をもとに給付についての調査は継続され、連絡があるものかもしれない。
またカナダ政府は新型コロナの緊急事態に様々な施策に対して「ゲームはするな」と繰り返し警告をしており、状況が落ち着いてからCRAの追随調査は行われることも予定されており、不正などに対しては厳しい措置が取られるというのが一般的な見方だ。
もしかすると多くの若い人はまだ税務やビザのことに詳しくなく、あまり考えたこともなく、困窮する生活の中で2000ドル(最大で8000ドル)をもらえることが嬉しくてついつい申請してしまっただけの人もいるかもしれない。状況はどうなるか分からないが、然るべき事情を伝え返金をすれば大ごとにならずに済むかもしれないし、今から申請しようと考えている人は将来のことまでよく考えることが賢明だろう。
また不正と扱われてしまう申請は観光ビザだけではないことも触れておきたい。カナダ在住と認められるビザでも申請に当てはまらない人もいるのであらためて注意が必要だ。今はそんな考えがなくとも、将来カナダやアメリカに移住しようと考えたとき、記録上で不正申請・給付が判明したらどうなるか考えてから各々が判断していくことをおすすめしたい。