銀杏・木村オーナーシェフのカナダストーリー Vol.13 銀杏レストランの30年
地元トロントに愛され続け、約30年。International Plaza Hotel(現Delta Hotel)へと移り、格式高いレストランへと変貌を遂げた銀杏レストラン。旧ホテル(Holiday Inn)ではファミリー層や日系駐在員といった客層だったが、ビジネスマンや海外から来るホテル客といった客層へと変化した為、全150種類以上あった居酒屋メニューを半分に減らし、全般的な品質を上げるなど、木村さんの日本食レストランへのこだわりが惜しげなく反映されている。今回はその変貌の最も重要な点、そして銀杏レストランの展望についてご紹介していこう。。
Vol.13 銀杏レストランの30年
1996年11月、International Plaza Hotel(現Delta Hotel)へ移転した銀杏レストラン。その中で最も大きく変化したことは、ついに木村オーナーが包丁を手に取り、シェフとして歩み始めたことだろう。それまで料理についてほぼ携わったことのなかった木村さんだが、新しくレストランを移転したことをきっかけに陣頭指揮を執る決意をしたのだそうだ。
「初めてオーナーシェフとして店に立った時は、緊張で胸がドキドキばくばくでした。とにかく経験がありませんでしたから。その当時は従業員も私の腕を信用していなかったと思います。ですので、一生懸命、料理の本を読んだり、シェフに聞いたりしながら、なんとかやっていきました。でも料理はもともと好きだったので、抵抗なくできました。」と木村さんは当時の苦労を語ってくれた。
そんな中でも、銀杏レストランの味を探し求め、常連客や新規のお客さんはすぐにやってきてくれた。木村オーナーシェフも、その従業員も、趣向を凝らし、お客さんが喜んでくれるように苦楽を共にしてきたのだった。
そうして、月日はいつの間にか過ぎ去り、トロントの老舗日本食レストランという他の店にはない肩書きを得た。あっという間の30年。しかし、木村さんのこだわりは止まることはなかった。
今年5月、International Plaza HotelがDelta Hotelへ改変することを受け、銀杏レストランもリノベーションを行った。全従業員の協力もあり、本当は2ヶ月かかるところを10日間で終えることができたのだそうだ。
「今後は、後継者を見つけていきたいですね。(銀杏レストランの)今までの歴史や流れを汲んで引き継いでもらいたいです。日本人の一番良いところは物を継続し、次の時代に繋いでいけるところにあると考えています。それが我々に残された最後の仕事なのではないかなぁと思います。」と、木村さんは次の30年の展望を語ってくれた。