Glass Half Full #7 作曲

空耳かと思いふと耳当てを外してみました。やはり「エリーゼのために」でした。舞い落ちてはアスファルトに溶けていく儚いなごり雪と共に、ストリートミュージシャンの奏でる儚い音色は、寒さまだ残る3月のBloor Streetに虚しく消えていくのでした。
そんな「エリーゼのために」を久しぶりに耳にし、蘇る記憶。辿り着いたのは20年以上前の幼少時代。マンションの下から聞こえてくるピアノの音色。1階に住んでいたピアノのお姉さんに憧れて、彼女がよく演奏していた「エリーゼのために」が弾けるようになりたくて、ピアノ教室へ通い始めました。
何か新しいものを創りだす時、何か新しいことを始める時、私達はそれぞれ理由があり、それは時にベートーヴェンが禁断の恋と知りながら愛する女性に捧げた曲の様に、複雑で壮大な理由だったり、ピアノのお姉さんに憧れて習い始めた私のきっかけの様に、単純で矮小なものだったりします。
もちろん「留学」もみなさんそれぞれの理由があるかと思います。私は今までのカナダ生活を通して、幸いにも沢山の人達に出逢うことが出来、沢山の話を聞かせて頂くことが出来ました。学校を休学して、仕事を退職して、愛する人を残して、みなさんそれぞれの覚悟を決めて来た留学。何かを成し遂げるため、何かを証明するため、自分探しのため、現実逃避のため。十人十色な理由があります。そんなそれぞれの理由から始まった留学。どの様に始めて、どの様に終わらせるかは、私達の志次第です。そしてそんな過程で幾度も訪れる困難や試練。それに耐えられなくなった時、語学力のせいにしたり、仕事やビザ、お金などと暮らしのせいにしてしまうのは、そもそも軟弱な志にしかすぎなかったのではないでしょうか。初心を忘れずに、志を高く保つことによって、それは行動力へと繋がり、その継続される行動力により、成果が現れ、その成果の積み重ねが成功へ導くのだと私は強く信じ、今日を生きています。
舞台はコンサートホールの様に華やかでなくてもいいのです。本格的なグランドピアノで演奏しなくてもいいのです。ステージ衣装を身にまとわなくても、観客がいなくても、拍手がなくてもいいのです。あのストリートミュージシャンの様に決していい条件を満たしていなくても、彼は一流ピアニストと同様、私達の心に響く演奏が出来ます。私達も同じなのです。環境や状況のせいにしてはいけません。世間や現実の厳しさに直面した時こそ、自分の可能性を最後まで信じて下さい。大丈夫です。まだいけます。
Nana Akimoto
– Teashop 168 Annex店 オーナー兼店長・モデル
1987年横浜生まれ。2007年にカナダへ留学。Georgian College卒業後、某スポーツバーや日本食レストラン等でマネージャーを勤める一方、モデルとしてカナダの新聞や雑誌をはじめ、シンガポールとベネズエラの大手出版社との撮影もこなす等、国際的に活躍もしている。2013年初夏にはバブルティーフランチャイズチェーンで知られるTeashop168 のAnnex店を展開し、今現在オーナー兼店長を勤めている。将来自分のレストランを開けることが夢である。









