Glass Half Full #11 風力発電
Brunswick Avenueの角にあるカフェから優しく運ばれるエスプレッソの香り、葉が揺れ合い重なりながら奏でる静かな葉菜歌、木漏れ日が無邪気に揺れる散歩道。今日もそんな“風”と共に始まる朝。
普段何気なく吹いているものなので、あまり気に留めることがないと思われますが、風の仕組みは気圧傾度力によるものです。つまり高気圧から低気圧に流れる空気が原因となります。なので気圧の不均一が大きいほど風は強くなります。
私たちの世の中もそんな風と似ている気がします。私たちの理想は現実との差が大きければ大きいほど、世間に評価されず不評や避難を受けがちです。そこから生まれる向かい風。私たちは世間の風当たりから逃げる様に、「一般的」という安定した防風壁の後ろに身を隠すことが多いです。そんな壁の後ろに居れば、普通であって常識的である世の中に護られるので「変人」ではなく「一般人」として世の人々が扱ってくれます。
そして私たちは、辛抱強く追い風を待ち続けます。「誰か・何か・何処か」が追い風を吹いてくれることを信じ、そんな不確かであろう追い風に長年身を委ねてきました。その結果、追い風どころか「北」風達に仰がれてしまい、残念ながら「総理・憲法・米国」任せの新しい風は、世の中を吹き抜けるどころか、暴風を巻き起こすことになってしまいました。
現実的に私たちには風を変えることは出来ません。同じく世の中を変えることも不可能に近いです。しかしそんな私たちにでも出来ることがあります。それは船の様に、風を読み取り、帆を調整し、行き先を変えることです。つまり世の中を知る事から始まり、考え方を色んな角度から見出し、そこから新たなる進路を見つけ出す事です。向かい風であろうが追い風であろうが、風がある限り、私たちは何処かしらへ辿り着くことが出来ます。一番恐ろしいのは無風状態で波が全く起こらない‘凪’の状態。つまり無関心で行動を起こさないことです。何事も一人の小さな行動から始まります。そんな私たちの小さな行動によって小さな波が出来ます。それが誰かのもとへ届くころには大きな波になっているかもしれません。
将来世の中がこんな風になっていればいいな、あんな風になっていればいいなと理想像を何んとなく口にする私たち。そんな当てのない風に頼るのはもう止めて、ポジティブでまるで高気圧である私たちのエネルギーを、ネガティブである低気圧な世の中へ送りこみ、私たちで風を吹きお越こすべきだと思います。
Nana Akimoto
– Teashop 168 Annex店 オーナー兼店長・モデル
1987年横浜生まれ。2007年にカナダへ留学。Georgian College卒業後、某スポーツバーや日本食レストラン等でマネージャーを勤める一方、モデルとしてカナダの新聞や雑誌をはじめ、シンガポールとベネズエラの大手出版社との撮影もこなす等、国際的に活躍もしている。2013年初夏にはバブルティーフランチャイズチェーンで知られるTeashop168 のAnnex店を展開し、今現在オーナー兼店長を勤めている。将来自分のレストランを開けることが夢である。