Glass Half Full #8 スタートライン
「旦那さんは何をしているのですか?」こんな質問をされる事が幾度かあります。女性は配偶者ビザでしか永住権は取れないと思われているからでしょうか。26歳の小娘にお店を開ける事なんて出来ない、きっとお金持ちの旦那がサポートしているに違いない、その様な前提があるからでしょうか。
移民コンサルトである川喜多綾さんのオフィスを訪ねた私は当時22歳でした。永住権の申請サポートを依頼し、お金を払い、沢山の書類を書き納め、某レストランでマネージャーとして勤め、Skilled Worker Classという方法で応募し、途中、東京ビザ局が永住権のサービスの運営を中止してしまうという予想外の事が起こりましたが、綾さんの的確な対応により、どうにか難を凌ぎ、彼女のオフィスで「お疲れ様でした、おめでとうございます」と言われるまで、約3年はかかりました。お金も、時間もたくさん費やして永住権を取得したそんな私の3年間の頑張りは「旦那」の一言で丸められる程小さくはありません。
私は今まで沢山の投資家候補の方々と対面してきました。5千万円なんて簡単に出せるような人達です。彼らは主に2つのタイプに別れます。違法で出来た現金を隠すために何かビジネスを開きたい、腕に刺青がたくさん入っている、アジア系のヤクザみたいな人達。そしてもう一つのタイプが、高級車を何台も乗り回し、豪邸に住み、素敵な家族を持っている、しかし下心が丸見えな中高年企業家達。汚いお金と知りながら夢に投資するのか、綺麗お金を使うために自分を汚すのか。どうしても若い年で“日本人女性”という良い意味でも悪い意味でもあるこのブランド名が、真剣なパートナー探しの邪魔をしてきました。そして去年の今頃、苦労し厳選してようやく見つけた投資家と、本当はレストランを開ける予定でした。しかし、その彼とはビジネス以外の関係は一切なかったにも限らず、彼の奥さんの異様とも言える嫉妬により、彼との一切の連絡を閉ざされ、全てが水の泡になりました。
正に七転び八起きの如く、投資家探しを続けて3年が経ちました。そして遂に今年3月に、信頼できる投資家と出会う事が出来、来年春に向けてレストランを開ける事が決まりました。「留学するんだ」「永住権取るんだ」「起業するんだ」全てを有言実行してきました。次はずっと夢であった「レストランを開ける」を有言実行するのみです。朝マックをしながら留学の資金を集め始めた16歳だった高校時代から10年が経ちます。ようやくここまで辿り着きました。これからが見せ所です。
今まで私のコラムに目を通して頂きありがとうございました。これからは自分の過去だけではなく、未来のレストランに向けての奮闘記を、今までの経験談と交えて書いていこうと思います。また私事ですが、おかげさまで、弊社は5月で1周年を迎えることが出来ました。これもひとえに、皆様方のご愛顧のおかげであると、感謝の思いでいっぱいです。ありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
Nana Akimoto
– Teashop 168 Annex店 オーナー兼店長・モデル
1987年横浜生まれ。2007年にカナダへ留学。Georgian College卒業後、某スポーツバーや日本食レストラン等でマネージャーを勤める一方、モデルとしてカナダの新聞や雑誌をはじめ、シンガポールとベネズエラの大手出版社との撮影もこなす等、国際的に活躍もしている。2013年初夏にはバブルティーフランチャイズチェーンで知られるTeashop168 のAnnex店を展開し、今現在オーナー兼店長を勤めている。将来自分のレストランを開けることが夢である。