感激の優勝(その1) | ゴルフ体験記 第11回
2006年の9月25日、カナディアン・ゴルフティチャーズ・カップに初挑戦しました。ゴルフ場は、バーリントンにあるクロスウインズ・ゴルフカントリークラブ。名前の如く、風がきついゴルフ場です。25年ほど前に完成したリンクスコースで、ご存知の方もいらっしゃると思います。本番の数週間前に、息子と2人で下見に行って来ました。コースのレイアウトはそれほど難しくなく、パターさえ決まれば何とか良いスコアが出そうな感じでした。
ところが試合当日は、西からの風が強く、ドライバーでも高く上げてしまうと150ヤードも飛ばないようなコンディションでした。そんなコンディションで練習しても始まらないので、スタート前のウォームアップ時間はもっぱらパターの練習に力を注ぎました。
会場に集まっている選手は、見るからに上手そうな人ばかり。もちろん、みなさんレッスンプロの人ばかりですから、圧倒されそうです。新米の僕と違ってベテラン揃いです。カナダ人プロに混ざって韓国系の選手がチラホラ、日本人は我一人です。全部で100名ぐらいの参加者数でした。
試合は、オープン、シニア(50歳以上)、スーパーシニア(60歳以上)とレディースの4段階に分かれます。僕はスーパーシニアで登録。スーパーシニアは32名の参加者です。
ファーストティでスタートする順番の抽選が始まります。順番が決まると名前の呼び出しがあり、マイクでアナウンスされます。まるで、PGAツアーさながらです。僕は4番目、「サム・フジイ、フロム、トロント」と呼ばれてティグランドに立つと、何だか頭がクラクラしてきて景色がボーっと見えます。周りに数十名の選手が注目する中で平気でいられる訳がありません。足もガタガタ、すくみそうです。
一番ホールは短い右ドッグレッグ・パー4で、目の前が池、右は林、その後ろにグリーン、左も飛ばしすぎると林です。僕の前にプレイした人のボールがフェアウェイ中央に見えます。「よし、あれを狙おう」と決めて、安全に得意の5番ウッドでショットしました。ところが気が動揺して上がっていたのは僕だけでなく、ボールも迎え風に煽られて舞い上がってしまいました。アッ、池ポチャ!と思いきや、運良くギリギリのところで止まってくれました。そこから何とかグリーンの左端にパー・オン。他の3名は、僕よりも易しい所から打ったにも拘らず、風でショートしたり、右、左に流されて、グリーンを外しています。また、グリーン周りからチッピングしたボールが風で止まらないのです。結局、パーは僕一人。練習の甲斐あって、2パットでホールアウトできました。他はみなボギーでした。これで、いっぺんに気が楽になりました。動揺して上がっていたのは、僕一人でなく、みんな同じなんだと気付いたからです。
次号につづく…
カナダ・ゴルフ・ティーチングプロ 藤井 勇
ゴルフ暦:38年 オンタリオ公式ハンディキャップ:7
2006年9月25日にオンタリオ州クロスウインズ・ゴルフクラブで行われた2006年度カナディアン・ゴルフティチャーズカップに初挑戦し、スー パーシニア部で初優勝。2007年10月にラスベガスで開催されたゴルフティチャーズ・ワールドカップにカナダ代表として初出場、スーパーシニア部門で4 位入賞。2009年度カナディアン・ゴルフティチャーズカップに再挑戦し、スーパーシニア部門で2度目の優勝を飾った。