四季に応じて様々な景観や車窓を楽しめる「アガワ渓谷鉄道」in スー・セント・マリー | H.I.S.オススメ オトナの旅
スー・セント・マリー。スペリオール湖とヒューロン湖の2つの五大湖に挟まれたオンタリオ州北部の都市。川を挟んで反対側はアメリカ合衆国のミシガン州となり、こちらもまたスー・セント・マリーという街が広がっている、2つの顔を持つ都市でもある。トロントから飛行機で約1時間30分。タラップを降りると、緑に囲まれ穏やかな空気が流れ、喧騒としたトロントから一気に真逆の世界へと引き込まれる。
今回の旅の目的の1つはもちろん、〝アガワ渓谷鉄道(Agawa Canyon Tour Train)〟への乗車だ。歴史あるアルゴマ・セントラル鉄道が運行するアガワ渓谷鉄道は地元民に留まらず、世界中各国から人が押し寄せて乗車する大人気の鉄道だ。その人気の理由の1つは、夏は新緑が広がる森を、秋は紅葉で色づいた森を駆け抜けるという、四季に応じて様々な景観や車窓を楽しめることであることは間違いないだろう。スー・セント・マリー市内の乗り場から車窓を楽しむこと片道4時間、最終目的地である〝アガワキャニオンパーク〟に到着。そこには広大な自然とハイキングトレイルが敷かれ、携帯も電波が入らないという日常から隔離された世界へ降り立つ。またこの世界は、カナダの絵画歴史に名を残す「グループ・オブ・セブン」のメンバーが愛したことでも知られ、ハイキングトレイルの大目玉である300段以上の階段を登った先の展望台にて待ち受ける絶景には、思わず固唾をのむ。折り返し電車が出発するまでの約2時間、思い思いに時間を過ごせるのもまた魅力の1つだ。
そして忘れてはならないのは、アルゴマ・セントラル鉄道は「この街の歴史の礎を作った」といっても過言ではないことだ。鉄道の開通によって北部から鉄などが運び込まれるようになり、製鉄が盛んになり栄えていった。近年は、製紙でも有名になり街には重要な産業となっている。
さてスー・セント・マリー市内へ話を移そう。冒頭の通り、2つの五大湖に挟まれた街はかつて水運でも栄えていた。水運で大切な役割を果たしていた運河は、カナダ国定史跡として登録されている。現在も水門の開閉を間近で見ることが出来るので、開閉時間などは水門近くに位置するビジターセンターで問い合わせみるのが良いだろう。周辺には歴史を感じさせる建物や、ビーバーが1日で作り上げた大きなダムなどの自然も広がる。晴れた日には、対岸に広がるアメリカの景色や野外シアターなどを楽しめる、遊歩道(Waterfront Boardwalk)を歩くのをおススメする。
この約3キロ続く遊歩道沿いには、4000点に近いアート作品を所蔵する〝アルゴマ美術館(Art Gallery of Algoma)〟も。先述した「グループ・オブ・セブン」の作品も数多く展示されており、館内に併設されたこじんまりとしたカフェからもアートが楽しめ、ぜひ立ち寄りたい場所である。
さらにその先を進むと、〝水上飛行機博物館(Canadian Bushplane Heritage Centre)〟が見えてくる。ブッシュプレーンと呼ばれる、物資運送や山火事での消防を手助けしていた飛行機がお出迎えしてくれる。館内では実際に飛行機に触れたり、シュミレーターを体験できたりと体験型アトラクションとしても楽しめるので、お子様連れの家族で訪れるのもまた良いだろう。
同じオンタリオ州内とは思えない自然と歴史、アートが溢れるスー・セント・マリー。この夏・秋の思い出の1ページの行き先に入れてはいかがだろうか。