カナダのクロマグロの季節が終わり思うこと|#編集部ブログ
毎年、春の終わりから秋にかけて、プリンスエドワードアイランドやノバスコシアを含む大西洋で獲れるクロマグロ。この時期、トロントの魚屋さんやお寿司屋さんには天然の本マグロが頻繁に入荷され、天然ならではの風味や旨味を味わうことができる。
カナダに来て13年。仕事柄、魚屋さんやお寿司屋さんを訪ね、キッチンの裏側で多くの経験を積ませてもらっているが、卸したばかりのマグロをひと口、ふた口と味わうたびに、「あぁ、なんて贅沢なんだろう」と感じる。こんな天然の大地の恵みを身近で楽しめること、それだけでもカナダに来て本当によかったと、改めて感謝の気持ちが湧いてくる。
大海に投げ出された一本の釣り糸から得られる命の恵み、それは自然が秘める神秘そのものに思う。『心を無にして大地を味わえ』という禅語のごとく、卸したてのマグロをひと口味わうたび、自然の力に心を打たれる。そして贅沢とは物ではなく、時に“あるがままの自然に触れること”そのものだと気づかされる。
『足るを知る者は富む』という老子の言葉が胸をよぎる。豊かな恵みをもたらすこの地に感謝しつつ、これからも自然と共にある暮らしを大切にしていきたい。
編集長
日本で3年間の勤務を経てオーストラリアへ。シドニーで8年間の生活のあとカナダ・トロントに移住しTORJAを起業。