楓の森の歩き方　第30歩

今年は暖冬の影響で暖かく、雪解けも早く終わり、緑あふれる素晴らしい季節が早く訪れそうですね。今年は思い切って、オンタリオの自然保護区Wilderness（原野）の中へカヌーで旅に出かけませんか？

Wilderness（原野）の定義は、人間の手によって荒らされてない地球上にある自然環境地帯のことでしょう。もちろん、工場地帯や下水道など人間によってコントロールされている地域ではありません。わたし自身の感じるウィルダネスは、人によって荒らされることなく、そして人間の力の影響を受けることなく、その働きが成り立っている場所を指します。

カナダやアメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカ、そしてヨーロッパには、政府の対応によりウィルダネスとして、国立や州立公園といった自然保護区がしっかりと制定されています。そしてこれらの地域は、立ち入り禁止となっている場所も沢山あります。今日では、これらの自然保護区は動植物たちにとって重要な場所でもあり、エコロジカルリサーチやレクレーションの場としても活用されています。

オンタリオ州の北西に位置するクエティコ州立公園は、1913年に州立公園と制定され、幸運にも1971年より伐採もされずにウィルダネスとして森や湖が生き続けています。ここはわたしにとって特別な場所で、カヌーを漕いで原野の中へと入って行くカヌールートに長く魅了されています。

1885年には、カナダ初の国立公園がバンフに作られ、カナディアン・パシフィック鉄道が開通しました。鉄道の開通と共にカナダ西部への旅行者も増え、カナダのウィルダネスをより広く、世界の方々に知っていただく機会が作られました。オンタリオ州では、森林や湖などの水域、そして野生動物たちを人間から保護する事を目的に国立のアルゴンキンパークが1893年に制定されました。現在では、水質や森を守る為の規定が定められ、魚や野生動物たちの調査を含めた活動も行われています。

アルゴンキンパークはその後オンタリオ州立公園に制定され、自然資源管理局のオンタリオパークスによって管理されています。オンタリオパークスは330以上もの公園（自然保護区）や自然保護地域など八百万ヘクタールほどのエリアを管理しています。オンタリオパークスによって自然資源が保護されているエリアは、わたしたちが触れて感じることのできるWilderness（原野）として、カヌールートやトレイルルートを利用することで、その内部へと入って行くことができます。これからの緑美しい季節、キャンプ道具や安全に過ごせる装備を整えて。

さぁ、原野へ。

Holly Blefgen(ホリー・ブレフゲン)
オンタリオ・アウトドアアドベンチャーズの代表。ナチュラリスト。春から秋にかけてカヌーととトレッキング、冬はテレマークスキーでネイチャーフィールド へ。30年余りに及ぶガイド経験を持ち、オンタリオ州及び日本における文化・歴史・自然にフォーカスしたツアーを通して、クライアントとその情熱を共有す ることを愉しみにしている。