第4回 「ラーメン王になる」そして「世界を変える」|カナダのしがないラーメン屋のアタマの中
「出来るだけ遠くに、出来るだけ大きな目標を掲げる」
バンクーバーの新店舗「Menya RAIZO / 麺ヤ雷蔵」のグランドオープンからおよそ一ヵ月が経ち、出張三昧の生活が少し落ち着きをみせたところです。10月の35歳になる誕生日を控え、ちょっとだけ心と体の余裕ができたので、最近はこれからことをずっと考えています。
8年前にワーホリでカナダに来て、永住権を取得してからの6年で、トロント・バンク―バーで5店舗の立ち上げの中核に参画し、自身の会社を立ち上げてから3年が経ちました。すべてが順風満帆には行かず、目の前の問題をとにかく一つずつがむしゃらに解決して、自分の立ち位置やポジションが変わるごとに、見える景色、考え方も変わり、心身ともに辛い時期もそれなりにありましたが、振り返って見るとなかなかエキサイティングで大きな成長を感じられる時間でした。従業員、会社の環境に恵まれ、家族、特に妻の多大なる理解と協力もあり、二人の子供にも恵まれ、幸せと言える日々を送っています。
ただ、30代は突っ走ろうと決め、ラーメン王になると宣言したり、世界を変えると意気込んだりもしてきて、心のどこかで大きな野望もふつふつと持ち続けている今、ふとこのタイミングで落ち着いたら、この野望が疼いてくるのです。このビジョンを具現化するために、これまでのようにこれから5年、アクセル全開で働くことはもちろん出来ますし、やりますが、それでラーメン王になれるのか?世界を変えられるのか?という問いが頭から離れません。
そういった意味では、まだまだ序盤の通過点、ぜんぜん自分の人生に満足していない、むしろ非常に焦っているのが本音です。ラーメン一心さんがビジネス街のハイエンドなフードコート“Assembly Chef’s Hall”に出店、山頭火さんがBloor StとEglintonに立て続けに新店をオープン、Ryus Noodle Barさんが新横浜ラーメン博物館に海外枠で出店、KINTON RAMENさんは相変わらず凄いペースでカナダにとどまらず店舗展開を進めています。同業の皆さんは勿論ライバルではありますが、トロントのラーメン業界を一緒に盛り上げる同士・仲間であり、仕事に限らずプライベートでもお付き合いのある先輩方、友人たちの活躍には本当に心からの賛辞を送りながら、さあ自分はこれからどうしよう…という漠然とした自分自身への問いかけを繰り返しています。
自分の人生、自分はどこまでやれるのかを試すために、出来るだけ遠くに、出来るだけ大きな目標を掲げたからこそ、これまでのいくつかの仕事の成果があり、それは決して自分の店を持つ、というような相対的に小さい目標(それはそれで素晴らしい!)であれば、すでにどこかで満足して、今の自分はなかったと思います。ただ、誰もやったことのないことをやる、自分にしか出来ないことをやって目標を達成するということは、正解のない問いを立てることとイコールです。
どこにあるかわからないゴールに向かって闇雲に動くことは、限りある時間を無駄にしている可能性もあり、かといってモジモジしているわけにもいきません。そして薄々気づいてはいましたが、具体的なプラン無しではたどり着けないのでは!という当たり前と言えば当たり前の結論に至ったわけです。
次回は、ラーメン王への具体的な道のりです。乞うご期待ください!
「雷神」共同経営者 兼 店長 吉田洋史
ラーメントークはもちろん、自分の興味や、趣味の音楽、経営の事や子育てのことなど、思うままにいろんな話題に触れていきます。とは言え、やはりこちらもラーメン屋。熱がこもってしまったらすいません。