世の中の変化、新たな挑戦|カナダのしがないラーメン屋のアタマの中 第23回
コロナ禍でまだまだ混乱が続く中、いかがお過ごしでしょうか。自分は大幅に売り上げが減少し、生き残りをかけて奮闘している渦中の立場ですので、今日はがっつり宣伝をしたいと思います。と言うのも、デリバリーとテイクアウトのみの営業を2カ月ほど続けて来ましたが、何か違うな、とずっと引っかかっているものがありました。それが何なのかが見えてきたのと、新商品の冷凍ラーメンによって、その引っかかりの突破口が開けてきたので、そのあたりのお話をしていきたいと思います。
ラーメンが一番おいしいのは、経験を積んだラーメンシェフが作った、お店で食べる熱々のラーメンです。その価値に対して、値段がそのラインを下回ると、そこにバリューが生じるため、お客さんの満足につながります。
しかし、コロナ以前には、味が落ちるのは承知の上で、レストランのフードを自宅で食べたいというニーズがありました。これは、忙しくて時間がない人や、「わざわざ並ぶのは面倒、それなら多少高いお金を払っても、デリバリーしてもらって家で食べたい」という一部のお客さんのニーズでした。これは、味とは違う価値がそこにあったので機能していましたが、今のコロナ禍において、忙しくて時間がない人は減少し、財布の紐は固くなり、このニーズが成立した前提自体が変わってしまいました。
通常12ドルのラーメンが、時間が経って味も落ちてしまっている状態で、コミッションやデリバリーフィーが乗って15ドルになります。自分が引っかかっていたのはまさにその部分で、選択肢がない中で、味が落ちた商品に対して、お客さんは高いお金を払って、レストランはマージンを抜かれるという構造自体に疑問を感じていたのでした。
そこで急遽開発した冷凍のFrozen ramen RAIJINは、9割の状態までラーメンシェフがお店で調理し、そのままの状態をキープするために、真空パックをして急速冷凍で味を閉じ込めています。これをお客様のご自宅で、最後の仕上げ部分のみ調理していただくことで、シェフがお店で作った熱々のラーメンの味に最大限、近づけることが出来ました。当然、麺は伸びますので、その辺の調整も含めて、100食以上の試作を繰り返してOKを出した商品です。

Frozen ramen RAIJIN
しかし、それでもお店の雰囲気や接客があって100点満点のラーメンになります。そのため、通常10ドルから15ドルのラーメンを、Frozen ramen RAIJINは8ドルから12ドルのプライスレンジで販売しています。また、冷凍の商品なので、大量に自社でデリバリーすることで、食事ごとのデリバリーやテイクアウトに比べても、大幅に感染リスクを抑えられます。
そして、デリバリーとテイクアウト営業になって新たに生じた課題の一つとして、過剰包装やシングルユーズプラスチック製品が多用されているという問題があります。コロナ以前から早期解決が求められる課題ではありましたが、コロナ禍では実質、保留となってしまいました。これはレストラン側のコスト云々の話ではなく、消費者側の罪悪感やサスティナビリティの問題です。冷凍ラーメンの包装ゴミはラーメン一杯あたり、ビニールバッグが一枚だけです。New Normalの最中であろうとも、企業の社会的責任として、社会課題を解決していくという姿勢を、世の中に対して示していきたいと思います。
1日3食×7日、一週間に21食分、何を食べるかを考えて、料理をしなければいけないという事が、これほど大きなストレスになるとは思ってもみませんでしたが、もし、同じように感じている方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度、雷神の冷凍ラーメンをお試しください。

「雷神」共同経営者 兼 店長 吉田洋史
ラーメントークはもちろん、自分の興味や、趣味の音楽、経営の事や子育てのことなど、思うままにいろんな話題に触れていきます。とは言え、やはりこちらもラーメン屋。熱がこもってしまったらすいません。