ラーメンと健康、罪悪感と幸福|カナダのしがないラーメン屋のアタマの中 第86回
先日、山形大学などの研究チームがラーメンと健康に関する調査結果を発表しました。40歳以上の6725人を対象に、平均4.5年間追跡したところ、ラーメンを「週3回以上」食べる人は、「週1〜2回」の人に比べて死亡リスクが高まるというのです。特に飲酒習慣がある人や70歳未満の人では、そのリスクが2倍以上に増えるという結果も出ていました。ラーメン好きにはちょっと気になるニュースです。
とはいえ、こうした「ラーメンと健康」に関する話題が定期的に取り上げられるのも、ラーメンがそれだけ愛されている証拠なのだと思います。ラーメンそれ自体がヒットコンテンツであり、愛されているからこそ、常にさまざまな議論の対象になる。それがラーメンという存在の特別さだと感じます。
大切なのは量
そしてもちろん、ラーメン=悪ではありません。大切なのは量です。毒性学の父パラケルススも「すべてのものは毒であり、毒でないものはない。用量のみが毒であるか、そうでないかを決める」と語っています。要は、何でも食べすぎれば負担になるけれど、適度に楽しむ分には問題ないということです。
では、ラーメンを食べるうえで注意すべき点は何か。一般的に言われるのは「塩分過多」「油分過多」「カロリー過多」。そこに加えて、無化調をうたっているラーメン屋であれば、野菜や昆布、かつお節などの素材から栄養が取れますが、うま味調味料を使っていたり、無化調でもタンパク加水分解物や酵母エキスを使用している場合もあるので、やはり「栄養価不足」があげられます。
カロリーについては、意外に思う人も多いかもしれませんが、醤油や塩、味噌、豚骨といったクラシックなラーメンは1杯400〜600キロカロリー程度で思ったほど高くありません。さっぱり系の塩や醤油は低め、味噌や豚骨など濃厚になるほど高めです。
一方で家系や二郎系のようなラーメンは800〜1000キロカロリーを超えることもあり、背脂や「油多め」を選べばさらに跳ね上がります。ここは健康を意識するなら気を付けたいところです。
塩分については、スープを飲み干さないだけで最大3分の1ほどの減塩になります。ついつい最後まで飲みたくなってしまいますが、そこを我慢できるかどうかで大きな差が出ます。
栄養バランスは、わかめや野菜をトッピングするだけでずいぶん改善します。あるいは野菜ジュースを一緒に飲むだけでも、不足しがちな食物繊維やビタミン、ミネラルを補えます。ほんの少しの工夫で、ラーメンを「安心して楽しめる食べ物」に変えられるのです。
食べたいものを美味しく食べる
ここで挙げた工夫は、あくまで罪悪感を減らすためのヒントです。ちなみに僕自身、週に5〜6杯はラーメンを食べていますが、適度な運動や睡眠を心がけることで体調を維持しています。日清食品の創業者にしてチキンラーメンとカップヌードルの産みの親・安藤百福氏も、50年間、昼は毎日チキンラーメンを食べていましたが、96歳まで元気に過ごしたといいます。もちろんこれは個人の話で、誰にでも当てはまるわけではありません。ただ、ラーメンを食べること自体が悪ではないということを、ラーメン屋として身をもって証明したいと思っています。
食べたいものを美味しく食べること。それは何よりも幸福につながります。せっかくのラーメンに罪悪感を持つのではなく、ちょっとした工夫と心がけで長く楽しく付き合う。そうすればラーメンは単なる食事ではなく、人生を豊かにしてくれる存在になってくれるはずです。







