【密着取材】スリーマン社のビール工場見学 [サッポログループのカナダ現地法人]|特集「憧れ・出会い・交流 ニッカナインティー」
カナダにお住いの皆さん、プレミアムビール「SAPPORO」はよくご存知だと思いますが、ここカナダで生産されていることは知っていましたか?さらにレストランやLCBOなどでよく見かけるビールブランド「SLEEMAN」も実はサッポログループがカナダの子会社スリーマンを通じて展開しているのです。
今回、ビール大好きカナダ在住の女性達がスリーマン社ビール工場見学ツアー&ビールテイスティングを行うということを聞き、密着取材をしてきました!
第1部
会議室で花澤靖弘社長からスリーマンについて学ぶ
■スリーマン社が展開するビールブランド
日本を代表するプレミアムビール「SAPPORO」、イギリス系移民一族のスリーマンがカナダで創業した「SLEEMAN」、ケベック州のクラフトビール・ブランドで二次発酵が特徴的な芳醇な甘みが口に広がるベルギータイプの「UNIBROUE」、ブリティッシュ・コロンビア州のクラフトビールで、ドイツ系のビール仕立て「OKANAGAN SPRING」、そしてさらに元々アメリカのブランドであった「PABST BLUE RIBBON」「OLD MILWAUKEE」などを代表的なブランドとして展開しており、カナダ各地域で特徴あるビールを製造・販売している。
■スリーマン社の歴史
スリーマン社はイギリス系移民により1834年に創業したが、禁酒法時代の密輸等により営業停止処分を受けた。禁酒法が解かれた後、約50年間の営業停止期間を経て、ジョン・スリーマンがオリジナルのレシピブックをもとに1988年に「SLEEMAN」を復活させ、その後ブリティッシュ・コロンビア州の「OKANAGAN SPRING」、ケベック州の「UNIBROUE」といったカナダ各地のクラフトビール会社を買収しながら成長を遂げてきた。もともとサッポログループとスリーマン社は、アメリカ市場向けの「SAPPORO」の委託生産という付き合いがあり、2006年にサッポログループによってスリーマン社が買収された。
第2部
オペレーション改善マネージャーを務める寒河江一博さんの案内による工場見学スタート!
■仕込み室→発酵タンク→熟成用タンク→パッケージング
味と苦味は、ホップの種類・ボリューム・導入タイミングによって変化する
仕込み室ではマッシュミキサーと呼ばれる機械で麦芽とお湯を混ぜることによっておかゆ状態にし、麦芽とお湯を混ぜる際に起こる酵素反応によってでんぷん質が糖分に分解されてマッシュができる。
次にロイタータンと呼ばれる機械に通し、麦芽の皮を沈殿させることで甘く温かい麦汁がうまれる。その麦汁は煮沸釜へ入れられ、ホップが投入され味や苦味の強さが決まってくる。
この後、麦汁は凝集物が取り除かれクリアな液体に変化し、発酵タンクへと移され、麦汁を無菌状態で素早く冷却する装置で冷却される。数日間の冷却後、熟成用タンクへと移されて熟成し、次に酵母などを投入して、最終過程のろ過へと進み、およそ1ヶ月ほどかけてビールが出来上がる。
パッケージングの工程では、瓶詰めされたビールは飲料のパッケージに熱を加え加熱殺菌や冷却を施す設備を通り、水滴を飛ばしラベルが貼られ出荷される。
第3部
それぞれ特徴ある豊富な種類のビールテイスティングがスタート
工場見学を終えるとホスピタリティー・ルームに移動し、ランチとともにビールテイスティングがスタート。「SAPPORO」はもちろん「SLEEMAN」ブランドの各種ビールが楽しめ、爽やかでアロマティックなセッションエールや小麦の優しい味わいが楽しめるクリームエール、ハチミツが隠し味のハニーブラウンなど味の違いを確かめながらじっくり試飲した。
参加者の皆さんはビールとともに歓談に花を咲かせ、2010年の「Return On Integration(ROI)Awards」最優秀賞を受賞したことがあるテレビコマーシャルやカナディアンのチームが全て日本で撮影をしたという今年放映された最新のコマーシャルなどを花澤社長の解説とともに鑑賞した。サッポロビールの製造過程をカナダ人の視点から日本文化の象徴と合わせ、独自に表現したコマーシャルのシリーズにサッポロビールがどのような工夫を重ねてカナダでブランドイメージを作り上げ浸透してきたかが理解できる良い機会となった。
最後に花澤社長は参加者の皆さんに感謝の言葉を述べ、「スリーマン社がサッポログループであるということを知らなかった方もいたと思いますし、それぞれのビールはUNIBROUE、OKANAGAN SPRINGといったようにスリーマンを冠に掲げずブランド名で発売しているので実は何十種類ものビールブランドを展開していることも今日知っていただいたと思いますが、是非ともスリーマンの様々なブランドを楽しんでいただければ嬉しく思います。また、今年から“SPLASH SPIKED SPARKLING WATER”というドリンクも出していますので是非とも試していただければと思います」。
参加者の皆さんからは今回のツアーに参加できたお礼と喜びが述べられ、「普段何気なく飲んでいるビールもこのように製造過程を見ることでまた違った楽しみ方や味わい方ができると思った。」「香りや温度の違いがどのようにビールの製造に影響されていくかが分かったので、改めて色々なブランドを試したいと思った。」「ワインや日本酒の醸造所や酒蔵は何度か足を運んだことがあるが、ビール工場は小学校時代以来だったので、発酵や熟成など知らなかったことも多く、あらためて勉強になる貴重な機会だった。」などの好意的なコメントが寄せられた。
工場見学豆知識
●大麦を口に含むと香ばしくてほのかな甘みがあって意外にも美味しい!
●ビールに苦味と香りを与えるという重要な役割を果たすホップは苦くて食せるものではないが、生薬としても健胃、鎮静効果があるとされ睡眠時に枕の下に置いたり、ハーブの一種としてヨーロッパでは民間薬として用いられるそう。
●日本では各メーカー統一のビール瓶。しかし、カナダやアメリカでは各ブランドで異なる缶や瓶を使用してオリジナル性を追求している。ちなみに「SAPPORO」はプレミアム感を演出するため、650㎖缶が用いられている。
●「SAPPORO」含め、生産されたビールはカナダだけでなく、アメリカ、南米に一日あたり何万ケースという単位で出荷される。
●年間50種類ほどのビールが試作されるが、商品化されるのはわずか2種類程度だという。
工場見学ツアー後、花澤社長に感想を伺いました
秋冬は冷えるとはいえ、室内はとても暖かいのでクリスマスに向けてビール需要が伸びるのがカナダの特徴。夏とはまた一味趣向が違うビールを楽しんでください。
ービールが大好きな女性達が集まった工場見学&テイスティングツアーでしたが、感想をお聞かせください。
今まで企業の方や商工会関係者の方々に来ていただいたことはあるのですが、一般の方向けにこのような機会はなかなかありませんでした。設備的に大勢の人を一回に受け入れることができないのですが、これを機に年に1〜2回は開催できればと思っています。
ー「SAPPORO」以外のサッポログループがカナダで展開するスリーマン社のブランドを知る良い機会にもなりますね。
企業関係者をのぞくと「SLEEMAN」がサッポログループということを知っている一般の方はそれほど多くないと思いますし、同時に「UNIBROUE」や「OKANAGAN SPRING」のようなブランドもサッポロブランドとして認知してもらえる機会としては有意義だと思います。
ー今日は日本から中長期滞在で来られている方が多かったですが、比較的カナダ滞在日数がまだ浅い方にオススメしたいブランドを教えてください。
「SLEEMAN」ブランドでいえば本日テイスティングしていただいた〝セッションエール・クリームエール・ハニーブランド〟などはそれぞれ特徴が際立っていてカナダらしいビールを楽しんでもらえると思います。
「UNIBROUE」ブランドでいうと“BLANCHE DE CHAMBLY”はベルギータイプのビールで飲みやすく、爽やかに味わえます。
またブリティッシュ・コロンビア州のビールとしては「OKANAGAN SPRING」というブランドがありますので、“1516”や“PALE ALE”などを是非試していただきたいです。
ーカナダの冬は極寒ですが、暖かい室内で楽しむビールはまた美味しいものです。冬にオススメしたいブランドを教えてください。
冬は「UNIBROUE」ブランドの“BLANCHE DE CHAMBLY”を鍋料理や和食と一緒に合わせるというのも良いですね。料理の味を引き立てながらも、芳醇な味わいが楽しめると思います。 また、ゆっくりくつろぐのであれば、アルコール度数が9%と高いですが“LA FIN DU MONDE”は冬のビールとしておすすめしたいです。そしておなじみの「SAPPORO」はみんなで楽しくワイワイやっている時などに是非とも飲んでもらいたいと思います。