トロントの居酒屋風雲児 #8
オープンまでラストスパート!
すっかり日の入りも遅くなり、夏がもうそこまで来ているなと実感する今日この頃ですが、皆さんは水着や旅行の準備など夏の準備は万端でしょうか?私はここ最近はオープンが近づいているので家族と過ごす時間も少なくなってしまっていますが、今はオープンのために集中するぞ、と自分に言い聞かせて頑張る毎日です。
工事もいよいよ大詰めになってきて、ようやくお店っぽくなってきました。もともとイタリアンレストランだったので、どうやって日本ぽく、居酒屋っぽく、そしてGuuっぽくするかを色々と考えましたが、少しずつ居酒屋の雰囲気が出始めてきたように思います。木をふんだんに使い、カウンター、椅子、テーブルなどが続々と出来上がり、この号が出る頃にはもうオープンしているかもしれない状況ですが、予定は未定でまだオープンの日が決められません。内装工事が終わってからもやることはまだまだ山積みで、レジや音響、ライティングなどの設置に始まり、キッチンやバーでスタッフが動きやすいオペレーションを確立していく事もとても重要になってきます。そして何と言ってもスタッフのトレーニング、これが一番重要かと思います。面接で私たちのブランドに合うようなスタッフと出会えれば最高なのですが、面接に来る方みんながみんなそうとも限りません。もちろんなるべくGuuっぽい人を採用するようにはしていますが、正直働いてみないとわからないのが事実です。やはり皆さん面接の時は合格したい願望もあり、いい人、出来る人を演じるのが普通かと思いますし、私もバイトの面接の時はそうでした。しかし、働いてみると演じ切れずにその人の色々な所が見えてきます。英語、接客、調理のレベルや性格など面接の時に聞いていたのとは違う事はよくありますが、働き始めは出来なくて当たり前だと思っています。しかし仕事をどのように捉え、どのように自分が成長していけるかを考えながら働くスタッフはどんどんと成長していくように思います。私はキッチンではどんな経験者も皿洗いから始めてもらうようにしています。もちろん私も皿洗いから始まりました。たかが皿洗いかよと舐めてかかったり、キッチン志望だから皿洗いはやりたくないという人もいますが、皿洗い場はとても重要なポジションで、料理を作っても盛り付ける皿がなければお客様にサーブできませんし、綺麗に洗われた皿でなければ料理を盛る事が出来ません。私たちの店で簡単なポジションなんて1つもなく、誰か1人のスタッフがうまくいかなければ、お店は円滑に回らなくなってお客様に迷惑を掛けてしまう事もあるので、本当にチームワークが重要だと思っています。スタッフ皆が自分の事だけでなく、周りのスタッフの事を、そして常にお客様の事を考えられるチームになってほしいなと思います。
オープンしたての時期はバタバタしてしまい、なかなか落ち着いてサービスやフードを提供する事ができないかもしれませんが、少しでも早く、少しでも多くのお客様が笑顔で帰っていただける店になるようにスタッフのトレーニングを妥協せずに行っていければと思っています。これからどんなチームになるかまだ想像ができませんが、3ヶ月後、半年後には全てのお客様が笑顔で帰っていただけるようなチームに成長していきたいなと思います。私たちの成長を見届けるためにも是非、お店にいらしてください。
小笠原 克 Ogasawara Masaru
日本ではファッションブランドGapでアルバイトからマネージャーまで7年間勤務、新規店の立ち上げや日本売り上げNo.1店舗での管理職を経験し、2005年にワーキングホリデーでバンクーバーに渡加。ファッション業界からの転身となるが、調理師免許保持や両親の飲食関係の仕事の影響などもあり、大人気居酒屋Guuでワークビザを取得し男前店で副店長を務める。その後2009年トロントでのFC立ち上げ総責任者に任命されトロントへ。寒い冬でも毎日行列のできる大繁盛店となり、トロントの日本食パイオニアとなる。2014年にはKinkaFamily Inc.の副社長に就任し、居酒屋の他、ラーメン、寿司、焼き鳥などのブランドを管理、2015年10月末GuuとのFC契約終了とともに独立・起業。現在は世界で皆に愛される飲食店を開業できるようにと奮闘中。