トロントの居酒屋風雲児 #13 「2つのバトルに挑戦」
「2つのバトルに挑戦」
明けましておめでとうございます。2016年もあっという間に終わってしまいましたが、私にとっては新しいスタートとなった年でした。まだまだやるべき事が山積みですが、一歩ずつ前に進んでいけるように今年も頑張りたいと思います。今年もどうぞよろしくお願いします。
以前から色々なイベントや催し物に誘っていただく機会がありますが、昨年末は今までに参加したことのなかった対戦型のバトルと呼ばれるイベントに2回挑戦しました。
前に日本のテレビでも放映していた「料理の鉄人」のようなシェフ同士が決められた食材やテーマに沿って料理を作り、その料理に審査員や観客の方々が勝敗をつけるといったイベントです。1つは日本の和牛を使ったバトル、“Japanese Wagyu Beef Battle”に私のパートナーである夏彦が参加し、私もアシスタントとしてサポートさせてもらいました。日本の伊藤ハムさんがカナダに下ろしているA5の和牛Itou Wagyuを使い、1時間という限られた時間で3つの部位を使い、3皿を作るといったルールのバトルでした。
また秘密の食材として、バトル直前に〝ごぼう〟を全ての料理に使わなくてはいけないというルールも加わり、初めてのバトルという事でかなりバタバタしてしまい苦戦を強いられました。正直あまりルールを把握できていなかった事もあり、1時間で相手よりも1皿多い4皿を作りましたが、結果は残念な事に負けとなってしまいました。
もう一つは“Fried Chicken Battle”に参加させてもらいました。このバトルはフライドチキンの有名なレストランが集まり、6人の審査員と来場者の投票で勝敗をつけるバトルでした。このバトルで大変だったのが、レストランで全てのチキンを揚げてから会場に持っていき提供するといったルールだったので、いかに冷めても美味しく、時間が経ってもクリスピーなチキンを作るかという事を考えました。20羽の丸鶏を捌き、食べやすいように全て骨を抜き、通常よりも少し濃い味付け、そしてクリスピーさを保つために衣に餅粉を使い、いつも自分の店で提供している唐揚げとは少し違う唐揚げでバトルに挑みましたが、こちらも残念なことに優勝は逃してしまいました。
正直、2回のバトルに勝つ事ができなくて悔しい思いをしましたが、もっともっと勉強をして、次また挑戦したいという気持ちで今はいっぱいです。美味しい料理を作ることはもちろんですが、より多くの方から美味しいと言って頂けるように、盛り付けや付け合わせにも今以上に気を配り、もっともっと精進していきたいと思います。その為にも今年は少しでも多くのレストランに足を運び、もっともっと勉強しなくてはと考えています。子供が出来てから正直、外食する機会が減ってしまいましたが、少しでも時間を作り勉強したいと思います。
2017年は私にとっては30代最後の年になりますが、料理人として、また経営者として、そして父親としてもっともっと成長できる1年にしたいと思います。本年もどうぞよろしくお願いします!!
小笠原 克 Ogasawara Masaru
日本ではファッションブランドGapでアルバイトからマネージャーまで7年間勤務、新規店の立ち上げや日本売り上げNo.1店舗での管理職を経験し、2005年にワーキングホリデーでバンクーバーに渡加。ファッション業界からの転身となるが、調理師免許保持や両親の飲食関係の仕事の影響などもあり、大人気居酒屋Guuでワークビザを取得し男前店で副店長を務める。その後2009年トロントでのFC立ち上げ総責任者に任命されトロントへ。寒い冬でも毎日行列のできる大繁盛店となり、トロントの日本食パイオニアとなる。2014年にはKinkaFamily Inc.の副社長に就任し、居酒屋の他、ラーメン、寿司、焼き鳥などのブランドを管理、2015年10月末GuuとのFC契約終了とともに独立・起業。現在は世界で皆に愛される飲食店を開業できるようにと奮闘中。