トロントの居酒屋風雲児 #20「30代、最後の一年!」
「30代、最後の一年!」
ようやく本格的な夏がやって来ましたが、暑くなると噂をされていたわりにはまだ落ち着いた暖かさが続いていてホッとしています。暑ければ暑いで文句を言うのに涼しければ涼しいで文句を言ってしまうわがままな自分にびっくりですが、もう少し暑い夏でもいいのかなと思う今日この頃です。
先月無事に39歳の誕生日を迎え、今年は家族3人でトロントから2時間ほど北にドライブをしてワサガビーチでお祝いをしてもらいました。息子も少しずつ大きくなってきたので、もう少し遠出をする予定でしたが、うちの息子は私が休みを取ると必ずといっていいほど熱を出したり、体調を崩すので今回も心配をしていましたが、今年は何事もなく楽しい時間を過ごすことができました。ありがとうございます。でも何歳になっても誕生日を祝ってもらえるのは嬉しいものですね。
何年も会っていない友達からもfacebookなどでお祝いのメッセージをもらったり、職場ではサプライズでスタッフがケーキと花束を用意してくれたり、妻と息子からのバースデーソングなど、何か恥ずかしい気もしますが、年に一度のお祝いはとても嬉しいプレゼントです。私達の店でも多くのお客様のお誕生日をお祝いさせてもらいますが、年に一度のお誕生日にご来店いただいているので、私達も精一杯のお祝いをさせていただいています。私にとって来年は40歳と節目の誕生日を迎えます。プライベートも仕事も今以上に楽しむために今年一年も精一杯頑張っていきたいと思います。来年はどこでどんな誕生日を迎えられるのか今から楽しみです。
日本にいた20代の頃はアパレル会社で働いていましたが、カナダに来てからの12年は飲食店で働き続けた30代でした。まだ先の事は分かりませんが、これからの40代、50代もきっと飲食関係で働いていると思います。まだまだ長い人生のたった12年間で、オーナーとなってはまだ1年の新人ですが、これからもっと年を重ねるごとに少しずつ居酒屋の店主、オーナーらしくなっていけるのかなと思います。先日、日本人のお客様がお一人でご来店され、私の前のカウンター席に座られました。
何気ない会話を交わし、楽しくお食事を召し上がっていただいていると、そのお客様から「ねえ、大将!」と呼ばれました。今まで大将と呼ばれたことがなかったので、何か恥ずかしい気持ちもありましたが、少しずつそういった貫禄が付いてきたのかなと少し嬉しい気持ちにもなりました。カナダにいると下の名前、もしくはマネージャーかシェフとしか呼ばれないので、あまり呼び方など気にした事はありませんでしたが、日本では親父さん、ご主人、店長、師匠、兄さんなどの呼び方があります。まだまだ私が大将と呼ばれるほどの年齢ではないかと思っていましたが、来年には40歳なので大将もそろそろ似合うようになって来たのかなと少し年をとることを実感した瞬間でした。
新店舗での営業はまだ1年ですが、トロントでの1店舗目をオープンしてからはそろそろ8年が経ちます。トロントの老舗居酒屋と言っていただけるように、またトロントの居酒屋の大将と言っていただけるように頑張りたいと思います。ビール腹ばかりが成長しないように気をつけながら、幾つになっても健康で、また気持ちも見た目もいつまでも若くいられるようにしたいですね。30代最後の1年、悔いのないようにしたいと思います。
小笠原 克 Ogasawara Masaru
日本ではファッションブランドGapでアルバイトからマネージャーまで7年間勤務、新規店の立ち上げや日本売り上げNo.1店舗での管理職を経験し、2005年にワーキングホリデーでバンクーバーに渡加。ファッション業界からの転身となるが、調理師免許保持や両親の飲食関係の仕事の影響などもあり、大人気居酒屋Guuでワークビザを取得し男前店で副店長を務める。その後2009年トロントでのFC立ち上げ総責任者に任命されトロントへ。寒い冬でも毎日行列のできる大繁盛店となり、トロントの日本食パイオニアとなる。2014年にはKinkaFamily Inc.の副社長に就任し、居酒屋の他、ラーメン、寿司、焼き鳥などのブランドを管理、2015年10月末GuuとのFC契約終了とともに独立・起業。現在は世界で皆に愛される飲食店を開業できるようにと奮闘中。