People. 15 vol.1 写真家 中田樹さん「俺にとってはカナダの経験は「バネ」…なんて もんじゃない。」|カナダワーホリを超えた今
東京京でフォトグラファーとして活動しています。ファッションブランドのルック撮影や雑誌、ミュージシャンのライブ撮影だったり、アーティストビジュアルの撮影をメインでしています。
俺にとってはカナダの経験は「バネ」…なんて
もんじゃない。全部の始まり。まえがき。エピソード1。
スターウォーズだったら冒頭の文字からの音楽とタイトルのワクワク感。それぐらい。間違いなくあのとき心の中でビッグバンは起きていて、それがいまの基になっている。形容できない心の機微を言葉で伝えようとするとどうしても稚拙になってしまうけど、頑張ってみようと思う。
叔父がアメリカ人で昔から漠然と思っていた「英語でコミュニケーションとりたい」っていうのと、日本の伝統的な「就活」から一旦距離を置いてみたいと思ったのが重なって大学3年生の俺はワーホリを決めた。カナダを選んだのは大好きだった先輩がカナダから帰ってきたから。
微かに、でも確実にこのまま人生進めると絶対後悔するって思っていたんだと思う。だから親にも相談もせず、勝手に大学の休学申請を進めて、数ヶ月フリーターして資金を貯めてた。大事な決断っていうのは案外考えずに動いていることの方が多いかもしれない。
大学の先輩が卒業するとき言っていた「定年まで35年のマラソンだよ」っていう言葉がめちゃめちゃ刺さってた。「仕事と人生」っていう全く正解がないものが突然現れて、それまで答えの出し方を学校で教わっていたのに、そこから先は正解ありませんなんて。ゆっくり確実に強制的に訪れる不安感に首を絞められてる気がした。と同時に疑問を持たずスーツを着て髪の毛を切っていく同級生に恐怖感を感じたのを覚えている。いま思えば自分の仕事を決める為にカナダに行ったのかな。まさかそれが日本に帰ってきて写真を撮っているなんて思ってもないよ。あのとき友達の前で「カナダいくわ」って言ったのは間違いじゃなかった。次回はカナダで感じたことを話します。