People.20 vol.2「僕は叫んでいた。毎日、全力で。」Shuma Janさん(映像作家/ディレクター)|カナダワーホリを超えた今
僕は今、岡山と東京の2拠点で生活しながら映像作家・ディレクターとして活動している。
映像を始めたのもワーホリへ行った当時、約10年前のことだった。
僕は叫んでいた。毎日、全力で。
少しでも映像に関わる仕事をしたいと思っている時に日本人俳優の募集を見つけた。緊張しながらオーディションへ行くと、陽気で、フレンドリーな男女が待っていて「数字を1から10までとにかく元気に、大きな声で叫んでくれ」そんな感じのオーディションだったと思う。その段階では詳細をあまり伝えられなかったが、Japanizi Going, Going, Gong!という子供向け番組の日本人キャストを探していたのだ。結局この役には落ちたのだけど、オーディエンスとして参加しないかという電話がきたので、参加することにした。
撮影は1日14時間、1ヶ月間続いた。やることはとにかく叫ぶ。ディレクターには毎日“Go nuts!(思いっきりおかしく)”と言われ、僕史上最高に声を出したと思う、今の僕を知ってる人からしたら想像できないぐらいに。
あと日本の相場は分からないが、この仕事はたしか時給14ドルぐらいでて、食事も3食ついて、海外だとこんなにもらえるのかと驚いた。そこには同じようにワーホリで来てる人、留学生、移住者、カナダ生まれの日系人など多くの日本人がいた。ダンサーやマジシャン、ミュージシャンなどすごくタレントのある人たちが集まっていて、空き時間にはマジックをしてたり、バイオリンを弾いてたり、話が尽きなかったのを覚えている。
ただ座っていても成立する仕事だったが全力でやった。そのおかげか仲良くなったスタッフに誘われて同作のウェブシリーズの撮影に役者・撮影スタッフとして関わることもできた。
世界は鏡なのかもしれない。自分が何をしてどう振る舞うかでそのあり方は大きく変わる。とてもシンプルなことだけどパワフル。この経験は自分が変われば、まわりの見え方が大きく変わるということを教えてくれた。その後、なぜか僕はからあげを揚げて、路上で番組を撮ることになる。