カナダのNature’s Goldって何!?|白ふくろうの「カナダの社会・経済」ネタ探し【第30回】
カナダ料理ってなんですか?
この質問を必ず聞かれるのですが、答えがない。
一般的には、カナダの家庭料理プーティンが有名ですね。山盛りのフレンチフライにチーズを乗せグレイビーソースをかけた、超ハイカロリーのファーストフード。ケベック発祥と言われ、その元祖が誰かでもめているという話もあります。
他には?
これがない。カナディアンに聞いても、首をひねるばかり。先日、この話題が出た時にある人の意見では、ケベックを除けば、白人系カナディアンは英国系が多いので美食に対する執着があまりないのではないかとのこと。なんとなく頷いてしまう意見ですが、意見には個人差がありますのであまり信用しませんように。
では、カナダの名産品は?
カナダと一口にいっても、東西6000キロ以上の広大な国ですので、探してみるといろいろありますね。東海岸、西海岸の海からサーモンやカニ、そしてロブスター。アルバータに代表されるアンガスビーフやオンタリオポーク。意外と知られていませんが、ブルーベリーの収穫量も相当なものだそうです。
しかしなんといっても、カナダの名産といえば、国旗にもなっているカナディアンメープルから採れる樹液を煮詰めてつくるメープルシロップでしょう。
カナダ統計局がメープルシロップについてのデータを発表しました。
カナダ全土のメープルシロップ生産量は、2018年979万6000ガロンだそうです。州別では、ケベック州が90%以上となる891万4000ガロンを生産しており圧倒的なシェアを持っています。オンタリオ州は46万5000ガロンで2位につけており、3位のニューブランズウィック州は36万1000ガロンと競っていますが、ケベック州の生産量には遠く及びません。
これだけのメープルシロップの生産量を誇りますが、その80%以上となる804万2663ガロンを国外に輸出しています。輸出先ではアメリカに502万4420ガロンでダントツ、次いでドイツ83万1847ガロン、英国40万2713ガロン、日本40万722ガロンと続いています。日本にもかなりの量が輸出されているようですね。
カナダ国内での消費も増えているようで、2017年のデータでは、一人あたり0.35kgの消費があったようです。1987年には0.10kgだったようですので、この30年間で3.5倍に増えています。人口も増えている中で消費もこれだけ増えているのは、やはり健康志向の表れでしょうか。
そのメープルシロップには、いくつかのグレードがありますがご存知ですか。
メープルシロップの品質は、州もしくは連邦の規則に沿って品質が定められています。近年、その規則でのグレード基準がInternational Maple Syrup Institute(IMSI)によって提唱されたものに沿って変更になり、北米で統一されました。
オンタリオ州では、以下の基準を満たしたものだけがピュアメープルシロップとして販売が許可されます。
すべてのグレードに於いて、糖濃度66%以上で、メープルの樹液を(通常40倍程度に)濃縮したものだけから作られたもの。
さらに、「発酵していない」、「色が均一でくもりや濁りがない」、「色合いにあったメープルの風味を持ち、不快な匂いや味がない」、この3つの条件をクリアしたメープルシロップだけにグレードが付与されます。
現在のグレードは以下の通り。
このグレードは、必ずラベルに表示されなくてはなりません。
以前のグレード制度では、ライト、エクストラライトといったものもあり、一部の店では、日本の一番絞りというビール名を真似て、“メープルシロップの一番絞り“という告知をしていたのを見たことがあります。これは、シーズン開始後の数日間に採取される透明度が高く、味が軽い樹液を使って作られたものでした。その意味では、一番と名付けてもいいのかもしれませんね。
メープルシロップをどう味わうか。
自分などはメープルシロップというと、ハチミツ代わりにパンケーキや紅茶に使う程度しか思い浮かびませんが、実はいろいろな活用法があるようですね。
Ontario Maple Syrup Producers Association(OMSPA)のサイトには、メープルシロップを使ったレシピ例が紹介されています。
メインディッシュとして、Maple Corn Bread、Maple Chicken、Cabbage-Apple Casserole、Squash Delight、 Grilled Maple-Glazed Rainbow Trout、Pork Tenderloin with Maple Pepper Coatingなど。
飲み物としてStrawberry Cooler。もちろんパンケーキやワッフル、デザートやソースとしての利用も。
添加物の一切ない自然の甘み、ピュアメープルシロップ。経済効果も大きいカナダの名産です。是非、カナダの味としてご賞味いただき、お土産としてご活用ください。
白ふくろう
1992年音響映像メーカー駐在員として渡加。8年の駐在の後、日系物流会社に転職、休眠会社を実業会社へ再生再建。2007年より日系企業団体事務局勤務、海外子女教育・日本語教育にも関心が高い。2009年より、ほぼ毎日トロントやカナダのニュースをブログ(カナダはいいぞ~。トロントはもっといいぞ~)で配信している。