カナダにいる日本人留学生の就職活動や仕事観に役立つ「駐在者×留学生 座談会シリーズ」学生団体PORTA主催 第10回
9月14日、トロント日本商工会オフィスにて学生団体PORTAが主催する第10回座談会が行われた。今回は、MAYEKAWA CANADA INC.(株式会社前川製作所)の、濱岡庸士氏と山本恭大氏、AUTEC Canada Inc.の足立一平氏の3名がゲストとして参加した。冒頭のあいさつでは商工会専務理事の伊東義員氏が、「これからの人生の中で、会社を見極め、自分で道を探していく必要性が何回か出てくるのではないかと思います。先輩方に色々聞いて、自分の人生設計を考えてみてください。」と参加者の学生にエールを送った。
パネルディスカッション・ダイジェスト
まず、ゲストの皆さんが海外駐在に至った経緯や日本と海外の職場環境の違いなどについてパネルディスカッションを行なった。3名のうち2名は、海外就職への願望はなかったという。またスタッフや顧客に対してもファーストネームで呼ぶことに抵抗を感じたり、海外では言いたいことを言い合い、決断をするのが早いため、その場の交渉が勝負になってくることへのプレッシャーを感じたりすることもあったそうだ。日本人留学生がもしカナダで就職活動を行った場合、日本語を流暢に話せることは強みにはなるが、採用の条件にはならず、環境は厳しいと口を揃えた。
座談会・ダイジェスト
濱岡氏は、はじめは英語を話すのが苦手であったと述べ、意思疎通がしっかり取れるように言語のコミュニケーションは大事だと実感したそうだ。 「20代で海外に出たのはすごく良い経験だし、羨ましいです。日本で英語を話せる人はまだまだ少ないので、日本に帰国した際は重宝されることを感じました。」と語った。
山本氏は、海外で挫折した時にどのように乗り越えたかという質問に対し、アフリカに駐在員として派遣された経験を話し、「頼れる人は絶対にいるので、一人で背負わないようにしてください。」と力強い言葉をかけ、テーブルからは「沁みる言葉ですね。胸に刻んでおきます。」との声が上がった。
足立氏はAUTEC Canada Inc.の唯一の従業員であり、新事業の立ち上げから、営業、会計に至るまで全ての業務をこなしている。自身の転職経験から、「北米では、転職は出世として見なされます。長く同じ仕事を続けるより、新しいことを求めて転職するのも一つの可能性としてあることを覚えておいてください。」と語った。
参加者コメント
今回が2回目の参加であるという郭拓人さんは、「前回の座談会で、有益な情報をいただけたのが、今回も引き続き参加することを決めた理由でした。1対1で、個人の事情に合ったアドバイスをもらうことができ、貴重な時間を過ごせました。」と話してくれた。
今回が初めてという参加者が大半を占め、例会と比べて人数が少なかったこともあり、駐在者の3名と参加者は密な会話で充実した時間を過ごせたようだ。駐在生活の中で苦労した点はもちろんのこと、社員との関係性やホームシックにはなったかなど、プライベートな話までしているグループもあった。座談会終了後も話は盛り上がり、参加者は駐在員と話すことができる貴重な時間を十分に活用できた様子であった。