贅を尽くした美食と日本酒のマリアージュに酔いしれる〜珠玉のペアリング〜|特集「幸せ時間の過ごし方」
Zen Sake Pairing Dinner
Collaborate with Nippon Sake Imports
日本の食文化や食材、伝統、技術などを尊重しながらトロントの和食シーンを牽引してきた「Zen Japanese Restaurant」が日本酒エージェント「Nippon Sake Imports」とコラボレーションし、一夜限りのペアリングディナーを開催した。
当日は、キャビアや和牛、トリュフのほか、ロブスター、鮑、北海道の雲丹や日本産鰻、そして秋の味覚である松茸など極上の食材が用意され、五感を刺激する前菜三種に始まり、贅を尽くした繊細かつ豪快な料理で参加者を魅了した。
「こだわり」を大事にしているZenの料理1品ごとに最良の1本がコーディネートされた当日の様子をレポート。
唎酒師ジェイソン氏が解説
極上の食材と日本酒が奏でる魅惑の融合
【前菜三種】
・鮟肝旨煮
・炙りがっこうクリームチーズと松茸フライ
・ロブスター生揚げ、鮑柔煮、雲丹、キャビア、山葵、花穂、芽葱 ゼリー掛け
味覚を面白く刺激するようなものからスタートしたいということで「陸奥八仙ナチュラルスパークリング」でスタート。甘さは控えめで泡立ちが柔らかく、トロピカルフルーツの香りがするスパークリング酒で「クリームチーズと松茸フライ」や「鮟肝旨煮」との相性も抜群だ。
【刺身】
・葱トロたく 酢飯チップ
・鯛昆布〆梅肉醤油、烏賊イカ墨塩
香り控えめでキレのある後味が楽しめる「白老 東条山田錦 純米大吟醸」は、特に「葱トロたくキャビア酢飯チップ」との相性が良い。白老のさわやかな酸味が料理を引き立て、参加者の多くが料理とのマッチングを評価した。
【天麩羅】
・白子、穴子、車海老、舞茸
軽快な飲み口かつ深い味わいが魅力の「陸奥八仙 純米吟醸 黒ラベル」はとても万能な食中酒だ。この日も穏やかなうまみが天ぷらを引き立てた。
【寿司】
・北海道産雲丹、トロ、炙り赤ムツ
あっさりしたものから味の濃いものまで様々なネタに合わせるためにも、バランスが取れていて、かつ料理の邪魔をしないすっきりした味わいの「宮寒梅 純米吟醸」をセレクト。華やかな香りとフルーティーな香りの両方が楽しめ、甘さと辛さのバランスが取れた味わいは、お寿司とも相性が良い。
【焼物】
・一色産鰻の蒲焼 山葵 木の芽
この料理には長い余韻を楽しめるお酒をと考え「作 純米大吟醸 塊山一滴水」が選ばれ、料理を引き立てた。
【和牛】
・A4宮崎和牛ステーキ
トリュフ
この日1番人気のあったペアリングが、和牛ステーキと合わせた「大治郎 山廃無濾過生原酒」。 濃厚なうま味がA4ランクの宮崎牛と見事にマッチし、香ばしい甘味は黒トリュフを引き立て、多くの人が喜んでいた。
【食事】
・松茸御飯、味噌汁
【甘味】
・季節のデザートの盛り合わせ
最後に日本酒の幅広さを感じてもらうために食後酒として「花巴 水酛×水酛」をセレクト。黄金色をした甘みの強いお酒で、カナダのアイスワインによく似た風味がある。
元々はワインに興味があり、ジョージ・ブラウン大学の様々なコースに通い、ワインの一般教養を学んだジェイソンさん。7年前に日本を訪れる機会があり、そこで日本の魅力に触れ、もっと日本の文化を探求したい!との想いから、トロントでの仕事を辞めて日本に移住。ちなみに、日本では楽天・東京本社に勤務していたそう。
日本酒との出会いは、友人に誘われて立ち呑み屋に行き、そこでたまたま日本酒を飲んだことが全ての始まりだそうだ。その後は日本中を旅しながら、数多くの酒蔵を訪問し、数えきれないほどの日本酒を味わい、時には酒造りを体験し、勉強をし様々な資格を取り、またその過程で多くの友人を作り、人脈を築いてきたという。
ジェイソンさん
Nippon Sake
Imports・Co-Founder
唎酒師
イギリス出身・カナダ在住歴15年以上
ケロッグ・シューリックMBA
(コンピューター・サイエンス関連)
トロントに帰国後も、日本で出会った多くの日本酒・酒蔵をリスペクトし、サポートしていきたいと考えた。彼らの造るお酒のクオリティやストーリーを伝えることで、カナダの人たちにも日本酒の「ロマン」を知ってもらいたい!という想いから日本酒の輸入エージェントをスタートした。
「日本酒は、これまで以上にワインと同等に評価がされるべきだと強く感じています。日本では、フランス・イタリア・スペインといった西洋レストランを訪れましたが、そこでは日本酒がこれらの料理といかに相性が良いかを証明していました。また、日本酒は、カナダの気候にもぴったりです。熱燗にもできる日本酒は、カナダの長い冬を乗り切るためにも最適なので、カナダの人々にもっと日本酒を楽しんでほしいと思っています」と語ってくれた。
ペアリングのおすすめアイデア
まずは、ご自身の味覚や好みを探ってみることをお勧めします。私の考えでは、ペアリングにルールはありません。 ただ、大胆に、今まで試したことのないものを試してみるのがお勧めです。 純米大吟醸だけに偏らず、純米酒、本醸造、山廃など、うまみの強いタイプも試してみることで、日本酒の「幅と多様性」を発見して楽しんでほしいです。
メッセージ
私たちは2020年にスタートしたばかりの新しい日本酒エージェントです。カナダで日本酒をさらに普及させるためには、飲食店と消費者それぞれに対して、日本酒の品質だけに限らず、それぞれの日本酒がもつストーリーや多様性も同時に伝えていくことが鍵になると考えます。そのためにも、今後はテクノロジーも活用しながら日本酒の普及にさらに力を入れていきますので、どうぞご期待ください!