【第8回】来年2026年のハミルトンと福山市の姉妹都市交流50周年に向けて|カナダ新移住者とトロント日系コミュニティー
8月9日、ハミルトン日系文化会館で夏祭りが開催されました。トロント総領事館やモミジなどの日系団体もインフォメーションブースを出店しており、炎天下の中で踊りやブース活動が行われました。地元の人々や行政関係者も参加し、地域に愛されている日系の温かいコミュニティーイベントという雰囲気に包まれていました。まるで子供の頃に祖母の家の近くで参加した夏祭りを思い出すようでした。

NAJCハミルトンのブースを訪れた際、思いがけない発見がありました。ハミルトンと広島の福山市は姉妹都市ですが、その交流の中で贈られたのか、あるいはギフトとして送られてきたのか定かではないものの、「福山市」と書かれた法被を、日系4世・5世の学生ボランティアたちが着ていたのです。カワサキ館長でさえ由来を覚えていないほど昔のものだそうですが、長い年月を経ても大切に保管され、今もなお使われていることに深く感動しました。
来年でハミルトンと福山市の姉妹都市交流は50周年を迎えます。近年は交流が途絶えていましたが、この法被をきっかけに、来年の50周年の夏祭りに向けて福山市の訪問を働きかけてみようと、カワサキ館長やNAJCハミルトンの方々と話し合いました。

「福山市」と記された法被が、どこかのタイミングでハミルトンに渡り、その後ずっと会館で受け継がれてきたことに、強いノスタルジーを感じました。たとえ漢字が読めなくても、日系カナディアンの皆さんが物を大切にし続け、その心が4世・5世の子供たちにまで伝わっていることに胸を打たれました。
50年という年月は、歴史という壮大な時間の流れの中では一瞬かもしれません。しかし、人ひとりの人生に重ねてみれば、とても大きな意味を持ちます。ちょうど私自身も50年前に生まれたので、この姉妹都市交流の50年を「自分事」として重ね合わせると、いっそう特別な重みを感じます。短いとも言える50年が、見方を変えれば深いノスタルジーを呼び起こし、積み重なった思いや記憶が尊い価値を生み出しているのだと実感しました。
この法被を守り、大切に使ってきてくれた会館の皆さんは、きっと他にも数多くの品を長く大切にしているのでしょう。改めて、「物を大切にする日本人の心」は単なる習慣ではなく文化そのものであり、とても尊いことだと深く感じながら夏祭りを後にしました。







