金メダルを取るコツ⑦|オリンピック選手もサポートするカナダ公認マッサージ・セラピストが教える身体と健康【第85回】

私の育った昭和の時代の「オリンピックは参加する事に意義がある!」といった考えから最近は「オリンピックは金メダルを取らなけば意味がない!」と大きく変化しました。理由は人気競技、人気選手を作り大きなスポンサーを得て利益をあげるモデルが定着した事にある気がします。
「金儲け主義(勝利至上主義)のオリンピックなんて悪だ!」と言うのは簡単ですが「金儲け主義」の良い点、悪い点を考えてみましょう。
良い点1:オリンピックでの収益が上がり、競技団体にお金が十分に配分されればアスリートに十分な資金が供給される可能性がある。それにより、良い道具、良い環境、良いマッサージセラピストを雇うことが出来る。
良い点2:資金が有れば世界レベルの試合など長距離移動時も良い移動手段、良いシート、良いホテルを確保してゆったりした日程で快適に試合展開出来る(時差と戦い、エコノミー席で寝れずに体が硬くなり、到着翌日に試合に挑むのとは大違い)。良い悪いは別として十分な資金があった方が優位に試合展開出来ることは私の経験からも間違いない。

悪い点1:勝利至上主義になるとアスリートの扱いが雑になる。簡単に言うと、金メダルを狙える選手を作りたいので、以前は若年層の体に大きな負担のかかる練習も良しとされる。たまたま、過酷な練習に耐えた選手が金メダルを獲ると、それが良しとなってしまう(周りも追随せざるを得ない)。
成長前の小さなボディーサイズ(身長体重)の方が有利な競技もあるので、成長前の選手が負荷の高い練習をすれば有利に金メダルを狙えるので選手達の将来を考えなければ良しとなってしまう(昔に比べて人間の身体が強靭になっているわけでもなく、怪我や生理不純など体調不良でドロップする選手が増える結果となる)。
悪い点2:落ちこぼれたくない一心から怪我を隠す、(怪我をして一人前といった気風が漂う)。
悪い点3:「勝っていれば良い」と練習に関係が無いこと(日常生活面など)を周りが全て効率良くサポートしてしまうと、自然と物事がスムーズに運ぶので選手本人や家族が勘違いしてしまう。
知らないうちに周りの大人がセットアップしてくれた生活に慣れてしまうと引退後に、いきなり現実と向き合うことになり、ミゼラブルな事になってしまいます(足元の台をいきなり抜かれた状態)。
金メダルを獲るために「勝てば何しても良い」でなく、「普通であることを知る」ことも大切かも知れません。これは選手だけの問題ではなく、無責任な記事を書いて持ち上げる周りの大人のせいでもありますが、本人しか気付くことが出来ません。これは、十分な資金のあるチームの選手が陥りやすい問題点です。
私が一番懸念する点は、勝利のためには「年齢に関係なく難しい、負荷の高い練習を早くスタートするのが◯」というコーチの理論が、選手の体のケアが強化されることもなく良しとされる事です。
これが原因で私も有名コーチと何回も大喧嘩をした経験があります。彼らの言い分は、「自分が現役の時は、もっとキツかった」とワンパターンの回答しか返ってこないのですが、「コーチがむかし根性があったかどうか」は問題でなく、現役の選手に、
ということが大切だと思っています。
私が20人を超える世界各国のオリンピックアスリートに信頼してもらった理由はマッサージのテクニックだけではなく、金メダルを獲るのに妨げとなることを排除する日本人特有の「お」「せ」「っ」「か」「い」にもあると感じています。
もう少し真面目な話しをさせてもらうと、スポーツにより精神的、肉体的に選手がダメージするのは本末転倒と考えているので、その防止策をご紹介します。
アイデア1:自分の競技人生(10〜15年)の全体のイメージを作る
金メダルなどの最終目標から逆算して何歳で何をやるべきか?と大まかなイメージをファミリーで共有しましょう。自分の進むリズムが明確になり、「コーチの言うことが全て」ではなくなり、自分を基準とした判断が出来ます(あるタイミングで周りより遅れているように見えても長期イメージがあれば焦らない)。
アイデア2:自分の身は自分で守る
そうは言っても、上位レベルでの争いになると「無理してでも勝ちたい」状況になるのも事実です(家族総出で金銭的、時間的にフルバックアップ体制でアスリートを応援しているので負けたくないのは当たり前のことです)。
「勝つための特訓」を一定期間、故障なく乗り切る対策で有効なのは、事前に特訓に耐え得る体を作り上げておくことです。体を作ると言うと「鍛える系」のトレーニングを想像する人が多いと思いますが、「私のアイディアは全く逆」でトレーニングに耐えうる「緩める系」の体を数年かけて計画的に作り上げることです。
アイデア3:自分の身を自分で守る具体策
「緩める系」コンディショニングの重要性を理解できたら、次にやるべきは正確なコンディショニング方法を身につけることです。「正確な方法」=「確認作業が伴う方法」です。
この方程式からTAD式コンディショニングでは、チェックポイントを、
①自分で触って日々の変化を感じ取り、
②その変化を動作などで目視確認する、
ことを基本とします。絶対に前進できる方法だからです。

難しい理論や高額な機械、ゴットハンドを持つ先生に診てもらわなくても自分で出来る方法です。長年アスリートをサポートした経験から辿り着いた答えは、私が大先生になることではなく「本人が重要性を理解してコンディショニングにも取り組んで貰うこと」です。
この方法にしてからは、様々な理由で私の元から離れても(カナダのトレーニングを終えて日本に帰国、海外の試合に同行できない時、サポート契約が終了など)良いコンディションを維持してもらえるようになりました。
今回の金メダルを獲るコツは、自分が賢くなり、自分の納得できるアスリート・ライフプランを立てて、自分で体を守りながらトレーニングする事です。「勝利至上主義」に傾いている感のある現在。有意義な選手生活を送るには、アイディア1〜3を参考に、もう一度プランを見直してみてはいかがでしょう?
「怪我をして一人前」などと意味不明なことを言うアスリートが少なくなると良いと思っています。
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