練習しても上手くならない理由|オリンピック選手もサポートするカナダ公認マッサージ・セラピストが教える身体と健康【第86回】

毎日週テニスレッスンをとっているジャスティナ。過去数週間 サーブの練習を始めたが、1時間ぶっ通しでトスの練習のみさせられたとブーブー文句を言っています。コーチからは「いい加減Dinosaur Armやめてくれ〜!」「腕が縮こまってボールが上に上がってない〜!」と注意される。
つまり、トスを上げる腕が真っ直ぐ伸びずに縮まっている姿がトロントラプターズのマスコットの絵の短い腕の恐竜に似ているとコーチは言いたいらしい。
ジャスティナの言い分はというと、「腕が縮こまっているのは自分でもわかっている!だけど何回練習しても腕が伸びない」とご機嫌斜め。両者の意見が噛み合っていないので、この延長線上にジャスティナのサーブが上手くなる可能性は非常に低いと思われます。

問題点を整理すると、Dinosaur Armの原因はトスを上げる動きを妨げる筋肉が硬くてコーチに言われた動きが出来ないことにあります(イメージはできている、コーチの言うようにやっているけど、体が動かない)。本人とコーチの両者が「問題点と解決策」を理解していないのが致命的です。
このエピソードを聞いた私がトスの動きを妨げる肩の筋肉を緩めると、その場で問題動作が改善され、翌日のテニスレッスンで上手く行ったことからもテニスの問題ではなく体の問題であった事は明確です。コーチからは、「やっと僕の言うこと理解したね!」と依然食い違い状態ですが…。
こんなケースもあります。
先生は生徒の左腰が硬いから脚を上げられないとは思っていませんから、「腰が硬いみたいだからマッサージにでも行ってきたら?」などとアドバイスされることはありません。この様に長期間問題点を誤魔化していると、腰が動かない分を膝を酷使してカバーしているので将来的に膝の問題が起こることは間違いないでしょう。
Q. さて以上2つのケースで共通する問題は何でしょう?
A. 多分問題点の捉え方が間違っているのだと思います。関節の動きが悪いから、①トスが上がらない、②脚を後ろに上げられない、③ジャンプが高く跳べないとは思いもしないのです。
この様にコーチとアスリートの間では永遠に解決する可能性がない問題が存在するのが大問題です。この部分のサポートが抜けがちで多くのアスリートがミゼラブルな状況に陥ります。
長期間練習が上手くいかないときは次の項目をチェック!
①体が動いて無いかも?と疑うこと
②自分の疲れの溜まるリズムを知ること
③「痛くないから良い!」ではないを知ること
ここに早く気がついたアスリートが勝利に近づきます。
良くある勘違い
1. 練習すれば上手くなる
今回2つのケースに共通しているのは、目標とする動作を妨げているのはテクニックや理論の不理解ではなく、体が動いていないことが多い事実をコーチ・アスリートが認識しておらず、無意味に練習を繰り返していることです。
2. 努力は報われる
スランプに陥ると、とりあえず走り込む選手がいます。正しい走り方、走った後に疲れをとるなどをせずにに走り込んでも疲れをためたり、硬い筋肉が発達して運動能力は向上せず体が重くなったりするだけです。少なくとも①下半身の動きを支える足首・膝・腰の関節可動域の柔軟性を確認、②腕の振りが大きくスムーズになる肩甲骨を緩めるなど、走れる体にするのが先決です。
3. ストレッチすれば体が柔らかくなる思い込み
週5回ヨガに通っているのに、一向に体が柔らかくならないというケースがあります。2〜3週間トライして改善されない時はアプローチが間違っていると思います。ヨガインストラクターの言うとおりやっているのでそんなはずがないと思うのが間違いです。
コンディショニングも十分時間を割いてやっている人の場合、自分の体が動いていないとは夢にも思わないのですが、判断基準を持たない場合大いにあり得ます。いくら時間をかけても効果を確認しながら進めないとコンディションの向上は見込めません。なぜかと言うと体は人それぞれ違うので、一般的なヨガやストレッチでは伸びない部分があることと知るべきなのです。一生懸命コンディショニングにも取り組んでいる人が陥りやすい問題です。
4. 練習を休んだら遅れをとる迷信?
根性論の賛否は分かれるところですが、体の機能からすると休養を入れた方が効率よく練習できるのは間違いありません。かつてオリンピック前に水曜日完全休養という作戦を取った経験があります。
TAD式改善策
1. 痛みの見極め方
●何もしなくても痛い➡炎症をともなう問題
●動かすと痛い➡筋肉の問題
●動かした最後に痛い➡腱の問題
と大まかに判断できます。
2. 筋肉の構造を理解
●筋肉➡筋肉繊維からなる。関節を動かす。2つの骨の間にある
●筋膜➡筋肉の表面にある筋繊維を束ねる膜、筋肉の緊張に伴い膜の緊張が高まり筋肉の張りに繋がる
●腱➡筋肉と骨を繋ぐ、コネクティブティシュー。ストレッチで緊張取り難い
ストレッチで取れない疲れをとる方法
①硬くなった腱を見つける
②腱を1分ほど続けて押す
③腱の緊張がリリースされる
腱の場所の見つけ方
筋肉がどこからどこについてるかを検索してその骨との境辺り
腱のリリースされる理由
神経反射の利用
3. 問題を抱える筋肉の特定方法
痛みのある関節ごとに可動域の確認をする。痛みの出る動きを正確に把握出来れば問題のある筋肉が限定できます。筋肉が限定出来たら、動きのどこで痛みが出るかで筋肉の筋繊維、腱、筋膜どこかを特定。組織に適した刺激で改善。
4. 痛い・痛くない判断基準ではなく関節可動域の確認するなど絶対的基準を持つ
5. 誤魔化しを見つける
動きの悪い、動かすと痛い動きは他の関節を動かして自然に誤魔化して本人が気が付かないことがある。正確に関節可動域を見ることにより、体の誤魔化しを見極める。
6. 手の届かない箇所を緩めるコツ
背中の筋肉など手の届かない場所を緩めるコツは、腰周辺、肩甲骨内側縁、脇のした首周辺を緩める➡背中の筋肉はこれらの部分にくっついているので間接的に緩めるのが可能。
だいぶ話が飛躍してしまいましたが、ジャスティナの話に戻ると、肩を下に引き下げる筋肉が緊張していたため、反対動作の腕を上げる動作が制限されていました。
腕を上がる位置まであげると脇の下に筋肉の緊張が現れるので直接マッサージで緩めただけで、サーブトスの動きを確認するとその場で腕を真っ直ぐ上げてボールを目標にトスが出来ました。Dinosaur Arm問題解消!

技術問題と体問題をつなげる人、もしくは自分の知識が必要であること、プラスこの問題を問題視する人が殆どいないことを皆さんに理解していただけたらと思います。
Flow Clinicは30年間の経験をもとに見えにくい問題点を見つけて解決するサポートを得意としており、多くのアスリートの世界レベルでの活躍によりその実力は証明されています。
一生懸命練習に取り組んで結果が伴わない、長年引きずっている問題など、お悩みを抱えている方是非一度TAD式アプローチもお試し下さい。





