留学カウンセラーが説く留学の心得 Vol.19
現地で学校生活にも慣れ、それなりに普段の生活にはそれほど困らない程度のごく簡単な会話力がついてくると、次に日本人留学生の皆さんの多くが気にし始めるのが、自分の発音の良し悪しと言えます。日本人特有のなまりや発音を気にし始め、ネイティブスピーカーのように綺麗な発音で話したいけれどそれが出来ず、発音やイントネーションの違いで相手に通じないことなども時々起こると、発音矯正が必要と感じ、そういったクラスについての相談が一気に増えます。ただ、ここで一つ皆さんが陥りやすいのが「発音」と「訛り」を同じものだと捉えてしまっている所があるということです。
学校生活編4:正しい発音は大事ですが、“訛り”があることは気にしないようにしましょう!
そもそも発音と訛りはかなり異なるものであると言えます。日本語でも各地でそれぞれの方言や訛りがありますが、それがどれも日本語として間違っているわけではなく、普通に会話のツール・言語として使われているわけです。英語も同じでアメリカなどに行けば各地域や州ごとに色々な訛りがありますし、カナダ特にトロントのような多様な人種の集まる都市にいれば同じ英語でも色々な国の訛りに遭遇します。語学学校でも色々な国籍の留学生と接していると彼らの異なる訛りを理解するのに日々苦戦する事もあるでしょう。とはいえ、訛りがあっても英語は英語なのです。私達日本人だって、やはり日本人ならではの訛りというのは、子供の頃から英語生活をして来た訳でない限りはどうしても隠せないものです(これはハリウッドに進出した日本人俳優がどれだけ専門家について訓練をしたとしてもやはり抜け切ることはめったにありません)。でもトロントに住んでいればすぐに慣れるもので、どんなに訛りが強くても実際正しい会話は出来ているわけであって、間違った英語を話しているわけではないのです。場合によっては訛りはチャーミングに聞こえたりもするのです。
一方、発音というのは例えば日本人が苦手な「LとRの違い」や「THの発音」、「SとSHの違い」、「AとUとOの違い」などと言った部分が間違うと、全く異なる単語になったり意味になってしまったり、通じなかったりすることがよくあるわけです。こういった発音の間違いを正すためには、確かに発音矯正のクラスに入るのが理想と捉える人も多いと思います。しかし実際にはクラスをがっつり取らなくても、発音というのはある程度自分で修正ができることも多いのです。まずは何度も何度もリスニングをして正しい音を耳で覚えます。あとは一人でいる時に繰り返し口に出して練習することで段々正せてくるわけです。たまに自分で自分の発音を録音してみるのも良いでしょう。そういった意識を持つだけで十分だったりするのです。逆に日本人の性質上、発音矯正のクラスをとって先生に注意されると、会話をしたい時にも発音を気にしすぎて今度は思うようにスラスラと話せなくなってしまうという状態に陥ることになります。こうなると、せっかく会話に慣れてきたのにまた振り出しに戻ってしまいます。
結論的に言えば、正しい発音を覚えることは大事ですが、訛りは気にせずとにかく自主的にしっかり練習を積んでいくという意識を保つことが会話力上達のポイントといえるわけです。発音記号は読めなくても良いので、正しい発音はまず耳で覚えて、あとは体にしみこむまで自分で何度もリピートすることを心がけると、段々と身についてきますので日頃から継続をすることが大事といえますね。
East-West カナダ留学センタートロント社代表
大学卒業後2001年に語学留学でトロントに渡来。語学留学とビジネススクール、ワーホリなどを経たのち、ジョージブラウンカレッジに進学。 成績上位者Dean’s Honour のタイトルを得てPost-Graduate Diploma取得。カレッジ卒業後、現職に就き就労ビザを経たのち永住権取得。カウンセリングした留学生は延べ1千人以上にも及ぶ。
HP: www.eastwestcanada.jp