留学カウンセラーが説く留学の心得 Vol.35
部屋探しの際によく相談される内容として、アパートのハウスメイトが現地の人のほうが英語力の向上を図れるでしょうか、というものがあります。確かに家でのコミュニケーションも相手が日本人でなければ英語を使わないといけなくなるので、必然的に英語の会話力も身につくものだと思う人も沢山いることでしょう。とはいえ、アパートのハウスメイトが現地の人だったとしても思っているような英語向上環境が整うかといったら、全くそんな事はないのです。
部屋探し編5:会話力向上と言っても英語環境のシェアアパートに拘らないほうがよいでしょう。
同じアパートに暮らしているハウスメイトがもしもカナダ人で、普段から英語で会話をする機会が多ければ家で英語を沢山使い、自分の英語力も向上するだろう、と思ってわざと最初から現地カナダ人が住んでいるアパートを見つけようとする方をちらほら見かけます。もちろん、自分が住んでいるアパートが常に英語環境であるほうが、日頃から英語を使う頻度も増えると思うかもしれません。ただ、実際にはアパートのハウスメイトがネイティブスピーカーだとしても、お互いにプライベートや仕事におけるライフスタイルも異なるでしょうし、相手側としても自分が住んでいる家に日本人の留学生やワーホリ生がいるからと言ってわざわざ会話の相手をしてあげる時間を作ろうとする人などはめったにいないでしょう。なかなか顔を合わせる事もないでしょうし、じっくり会話に付き合ってくれるようなこともまずないと思います。現地の人もみんな自分の生活で忙しいでしょうし、家ではリラックスしたいものだと思いますのでよほど気の合ったハウスメイトでないと家で一緒に時間を作って会話をしたいと思うようなことはめったにないはずです。
更に、同じ日本人同士でさえ感覚の違いやライフスタイルの違いで色々な摩擦やイライラも生じるものなのに、国も文化も言葉も違う相手と共同生活をするということはもっと様々な摩擦や衝突に発展する可能性は十分にありうるわけです。ハウスルールや共同スペースの使い方がお互いに気に食わないことも出てくると思います。それにより、本来であれば家というのは帰ってゆっくり落ち着ける場所であるべきところを、ハウスメイトとの共同生活やその環境のせいで家にいるのがストレスになってしまうことも多々あります。そういったことを考えたらアパートを探す際には、そこに自分の英語力向上に付き合ってもらえそうなハウスメイトのいる英語環境を求めることに拘るよりは、ちゃんと自分のプライベートのスペースとして落ち着ける場所になるか、という部分を優先して考慮されたほうがよいでしょう。英語力の向上は住んでいるアパートの環境から求めるのではなく、自分から積極的に外に出て英語を使うことにフォーカスを当てましょう。そしてアパートに関してはハウスメイトとお互いに気持ちよく暮らしていけるか、という所に焦点を置くほうが部屋を見つける際にもあまり選択肢を狭めずにすむといえますね。
高林紘子
East-West カナダ留学センタートロント社代表
大学卒業後2001年に語学留学でトロントに渡来。語学留学とビジネススクール、ワーホリなどを経たのち、ジョージブラウンカレッジに進学。 成績上位者Dean’s Honour のタイトルを得てPost-Graduate Diploma取得。カレッジ卒業後、現職に就き就労ビザを経たのち永住権取得。カウンセリングした留学生は延べ1千人以上にも及ぶ。
HP: www.eastwestcanada.jp