日加友好の架け橋として、瀬戸山チャコ久子氏への外務大臣表彰伝達式|日系コミュニティーニュース
10月25日、瀬戸山チャコ久子氏の外務大臣表彰伝達式がトロント日本国総領事公邸で執り行われた。この表彰は、瀬戸山氏が長年にわたり日加間の相互理解や友好促進に多大な貢献を果たした功績を讃えるものであり、その活動は桜の植樹や東日本大震災の被災児童支援、さらには日加間の青年交流促進など多岐にわたる。
式典の冒頭、松永総領事が祝辞を述べられ、その中で瀬戸山氏のこれまでの取り組みと、その功績が日加関係の発展に大きく寄与していることを強調した。
特に瀬戸山氏の桜植樹プロジェクトは、トロント市と相模原市の姉妹都市25周年を記念したものとして始まったが、その後も続けられ、マーカム市にも桜の木を寄贈するなど、桜を通じて日加両国の友好関係を深める象徴的な役割を果たしているとした。
瀬戸山氏はフォレストヒル・ロータリークラブのメンバーとして、慈善活動にも積極的に参加してきた。
特に東日本大震災の後、被災地の中高生をカナダに招待する「Support Our Kids」プロジェクトを立ち上げ、2014年から2018年の間に宮城県、福島県、岩手県から78名の学生をカナダに迎え入れた。
彼らはホームステイやサマーキャンプ、地元の学生との交流を通じて異文化を理解し、自身の経験を共有する機会を得た。
特に感動的なエピソードとして、岩手県陸前高田市からの少女が2011年の津波で家族を失い、その6年後にカナダでホームステイを経験したことなどが紹介された。
瀬戸山チャコ氏のスピーチ
表彰式では、瀬戸山氏自身もスピーチを行った。彼女は、1971年にトロントに移住した当初の思い出を振り返りながら、今日まで続けてきた活動が評価されることに対して、深い感謝の意を示した。
「私がトロントに来た当時、この地は今とは全く異なり、広がるのは未開拓の地ばかりでした。桜を植樹するという活動が、こうして評価され、日本とカナダの友好の架け橋となることは、私にとって非常に大きな喜びです」と述べた。
また、「聖書との出会い」や「家族との出会い」についても語り、自身の人生において重要な出来事として挙げた。彼女は、家族の支えと共に事業を拡大し、ジェームス松本氏との出会いが、彼女の人生において大きな力となったことを強調した。
「私たちは1985年に共に仕事を始め、会社を立ち上げました。彼のサポートと共に、桜の植樹などの活動に力を注ぐことができました。私たちの活動が、今日の成果に繋がっていると感じています」と語った。
瀬戸山チャコ氏に聞く
ー本日の受賞について、どのようなお気持ちですか?
本当に私がいただいてよいのかなと思っています。何も特別なことをしていないように感じますが、これまでいろいろと取り組んできたことを振り返ると、こうして表彰されることはありがたいことだなと感謝しています。
ー特に印象に残っている取り組みは何ですか?
東日本大震災の子供たちをカナダに招く決断をしたことが一番印象深いです。2019年まで続けてきたこの活動を通じて、子供たちがカナダで過ごす中で、自分の人生が変わったと言ってくれたことが、私にとって非常に大きな刺激となりました。日本から来たお母さんたちも、特に震災で困難な状況にあった方々が、カナダでの経験を通じて少しでも心の癒しを感じてもらえたのではないかと思っています。
ー桜の寄贈についてもお話いただけますか?
私は75歳になりますが、トロントに寄贈した桜はこれから100年先まで生き続けると思います。桜が咲くたびに、多くの人々が日本の美しさや平和を感じてくれることがとても嬉しいです。
ーチャコさんにとって、トロントやカナダはどのような場所ですか?
トロントはとても不思議な場所ですね。当初は、日本に帰りたいと思っていたのですが、いつの間にかこの土地に根を下ろすようになり、今ではここが私の新たな故郷だと感じています。
ジェームス松本氏に聞く
ー今回の表彰について、どのように感じていらっしゃいますか?
もう10年以上前から続けてきた活動の成果がこうして表彰されるのは非常に嬉しいことですし、感慨深いですね。これは私にとっても大きな喜びです。
ー彼女の活動について、どのようにお考えですか?
主にボランティア活動が中心です。お金ではなく、彼女自身の情熱と貢献心で成り立っているんですよ。彼女は非常に貴重な存在で、その影響力は私自身にも大きく及びました。彼女の活動をサポートしながら、私自身も成長できたと感じています。