Zen Japanese Restaurant Executive Head Chef 佐藤健志さん インタビュー
本物の和食を追求する 元公邸料理人
なだ万やうかい亭など和食界でも有名なレストランで経験を積み、公邸料理人としてトロントへ来た佐藤健志さん。帰国が迫るタイミングで志を同じくするZenの柏原さんと出会い、寿司会席を提供すべく、一緒に働くことを決める。そんな職人佐藤さんのこれまでの歩みに迫る。
料理の道を目指そうと思ったきっかけはなんですか?
私の父がきっかけだと思います。父も趣味でよく料理を作っていたので、一緒に作ったり食べたりしているうちに、私自身も料理を作るのが好きだなと自覚しました。それが小学生高学年の頃でした。テレビでは〝料理の鉄人〟をやっていて、それを見ながら憧れを抱いていましたね。
料理の基礎や技術はどこで学ばれたのでしょうか?
2000年に調理の専門学校を卒業した後は〝料理の鉄人〟に出演されていた中村孝明さんがいる〝なだ万〟に就職し、本格的な修行が始まりました。修行は朝も早く、厳しい縦社会で皆さんがテレビや漫画で見たことのあるような世界と本当に同じでしたね。店が入っているホテル近くのマンションを会社が借りていて、私は兄弟子と一緒にそこに住み込む形で修行に没頭していました。
なだ万での修行を終えた後はどのように現在までステップアップされてきたのでしょうか?
なだ万で4年半ほど働き、その後は紹介を通して2、3年に一度移動する形で3軒ほどお店を回りました。2008年に東京タワーの下にある鵜飼亭というところで働き始めました。その後はカナダに渡り、公邸料理人を経て、Zenで働いています。このうかい亭となだ万がカナダに来る前に私の料理の基礎になっています。
うかい亭での経験を教えていただけますか?
都内では非常に有名なお店でしたし、立地的にも政治家のお客様や六本木での試写会を終えたハリウッドスターなど著名な方も多く来店していました。私は焼き場から始めて、刺身、最終的には味付けまで任せていただきました。味付けの仕事は料理として最後に任されることです
うかい亭の後に海外へ出ようと思ったきっかけはなんでしたか?
僕は板前を始めた頃から漠然とした憧れで海外へ出たいと思っていました。さらに実際に海外へ行った先輩の話を聞いていると、チャンスもやりがいもあるということだったので、しっかり日本食の基礎を勉強して、日本でも通用する最高の技術や知識を身につけてからカナダへ来ました。
公邸料理人からZenに移られたきっかけはなんでしたか?
タイミングが良かったのだと思います。元々Zenは純粋に美味しいと思い、スカーボロロケーションの頃から通っていて、柏原さんともいろいろな話をしていました。公邸料理人は総領事の帰国に合わせて帰ることもありますし、次の国へ行く、違う仕事に就く、など選択は自由なのですが、私の場合はちょうど柏原さんがフュージョンではない純粋な日本食、寿司会席をやりたいという話を聞き、一緒に働かせてもらうことになりました。
現在Zenで担当されているお料理について聞かせてください。
今やっているコースについては、日本の会席料理をできるだけそのまま持ってきています。こっちの人に合わせて和食の原型がなくなるほど味を変える、ということはやりたくないので、多少のアレンジは加えますが、本当に美味しいものは世界のどこでも美味しいと思うので、自分を信じて提供しています。
コースメニューは季節に合わせて頻繁に変えています。特に前菜で提供している盛り合わせは旬の食材を使用しており、それを季節ごとに食べ比べていただくと、季節の移り変わりがよくわかると思います。食材の中にはやはりトロントで入手することが難しいものもありますが、本当に美味しいものを食べていただくために日本から取り寄せているものもあります。また私もお酒が好きなので食事は日本酒と一緒に合わせてもらうことも意識しています。
TORJA読者にメッセージをお願いします。
トロントで外食しているとダシの美味しさを忘れてしまうと思うので、本当のダシの美味しさを再確認して欲しいですね。化学調味料系は一切使わずに準備しているので一口食べていただければその違いを感じていただけると思います。
Zen
Japanese Restaurant
7634 Woodbine Ave, Markham
zenjapaneserestaurant.com