心臓・血管の病気とは?|カナダと日本の医療制度の違い
セントマイケル病院の医師、ボビー・ヤナガワと川口保彦です。今回は、我々の専門である心臓・血管の病気について簡単にご紹介します。心臓病といっても多くの種類があり、大きく分けると心臓自体の異常と血管の異常に分類されます。

1. 冠動脈疾患(狭心症・心筋梗塞)
冠動脈は、心臓自身に血液を供給する重要な血管で、動脈硬化により狭くなることで発症します。冠動脈の壁にコレステロールが蓄積し、血液の流れが悪くなるため、胸の痛みや息切れが生じます。脂質異常症や糖尿病、高血圧、喫煙、家族歴がリスク要因です。カテーテル治療や外科手術(バイパス手術)が必要になることが多いです。
2. 弁膜症
心臓には4つの部屋があり、それぞれを隔てる扉が弁と呼ばれます。主な弁膜症には、大動脈弁狭窄症(出口の弁が狭くなる)や僧帽弁逆流症(弁が閉まりきらず、血液が逆流する)があり、それぞれ息切れや胸苦しさを引き起こします。大動脈弁狭窄症は高齢者に多く、僧帽弁逆流症は30〜50代でも発症することがあります。弁を取り替えたり(弁置換)、逆流を止める(弁形成)外科手術が必要になることが多いですが、最近はカテーテルでの治療も盛んに行われています。
3. 不整脈
不整脈には多くの種類がありますが、共通の症状として動悸や息切れ、失神が挙げられます。投薬で改善が見られない場合、カテーテル治療や手術が検討されることが多いです。
4. 大動脈瘤
大動脈は心臓から体全体に血液を送る最も重要な血管ですが、その一部がコブのように膨らむ病気が大動脈瘤です。胸やお腹の大動脈に発生することが多く、症状がない場合がほとんどです。CTやレントゲン検査で偶然発見されることが多く、破裂や大動脈解離を引き起こすリスクがあります。高血圧や遺伝的要因が関連しており、血圧管理が重要です。サイズが大きいと外科手術が必要になります。
5. 大動脈解離
大動脈瘤と関連する疾患で、血管が裂ける病気です。突然の胸痛や背中の痛みが特徴で、裂けた瞬間に血管が破裂し、命に関わることもあります。日本でも著名な芸能人がこの病気で亡くなったことで、知っている方も多いかもしれません。緊急手術が必要な場合も多く、早期の診断と治療が不可欠です。
心臓・血管の病気は多岐にわたりますが、一般的な予防策として禁煙、血圧管理、脂質管理が有効です。カナダでの生活では、日本と食習慣が異なるため、減塩や脂っこい食事を控えることを心がけると良いでしょう。

ボビー・ヤナガワ
トロント大学セント・マイケルズ病院心臓外科チーフ・プログラムディレクター。トロント大学医学部卒、トロント大学心臓外科、米国バージニア州イノバ・フェアファックス病院、ニューヨーク州マウントサイナイ病院でのトレーニングを経て現職。








