否定は前から|めるものえいご【第13回】
That is not a Chow Chow. チャウチャウちゃう。
I do not know what you are talking about.何言うとるかわからへん。
notの後ろ(下線部分)を丸ごと否定する、この原則を覚えてくださいね。
A: Hey, let’s have a coffee or something. 茶でもしばこか。(※使っている大阪人はいません)
B: ①I do not really feel like it. ②I really do not feel like it.
notの後ろを否定ですよ。なので①は、『ほんまに飲みたい気分』ってことはない。②私は『飲みたい気分』ということがほんまにない。つまり、① は『そない飲みたいわけでもないけどな~』という一部否定ですが、②は『絶対飲みたくない!』という完全に否定です。コーヒーになんぞ恨みでもあるんですか?それか私のこと嫌いですか?と不安になるほど、全力で否定する文になるわけです。
では、中学校で習ったこんな書き換え。みなさん覚えていますか?
私には友達がいない。
①I do ( ) have ( ) friends.
②I have ( ) friends.
何とも悲しい例文ですが、答えは①がnot / any②はnoです。「友達おらん」という表現を、①では、『何人かの友達がいる、ということはない』と否定していて、②は「ゼロの友達がいる」という風に表しています。特に②は日本人としてはちょっと慣れないですが否定は前から。否定の言葉は、すぐ後ろの言葉を否定する!という原則が理解できると、 分かりやすいですね。
同じように、下のような例文も、すぐ後ろ(下線部分)を否定します。
I am unavailable at the moment. ただいま不在です。
You never clean the washroom! あんた、絶対トイレ掃除せーへんやん!※ never 決して~ない
なーんや、今日は簡単やん!と思ったアナタ!notの位置の違いは、特に会話において、びみょーーーーーなニュアンスの違いがあります。簡単な表現ですが、場所を間違えると意図していることと全然違うメッセージになるので注意してくださいね!
Q1.彼女をブチ切れさせた彼の一言はどちらでしょう?
A: You don’t care about me. You don’t love me anymore, do you? You may have never even liked me. あなた私のことなんか気にもしないのね。もう愛してないんでしょう。いいえ、それこそ今まで好きでもなかったんでしょう。
B: ①That’s not all true. ②That’s all not true.
Q1は、①です。こんなこと言ってくる時点でもうウンザリ気分なのはよく分かりますが、『全部そうだってわけじゃないよ。(でも一部はほんとだよ)』なんて言ったら、なんやとコラ!どれがや!言うてみぃ!とブチ切れ必至です。別れ話はもつれにもつれます。『誤解だよ!君にラブだよ!』であれば②で力強く全否定してください。その辺、濁してフェードアウトをはかりたい場合は、(書いてないけど)③That’s not true.でぼかしてください。
Q2.コイツ面倒くさいな、と思われる一言はどちらでしょう?
A: Hey, would it be possible to get a ride home after the party? なぁ、今日の飲み会の後、家まで乗せてってくれへん?
B: ①Well, it’s not impossible. ②It’s possible.
Q2、言い方にもよりますが①です。『不可能ってわけじゃないけど』(でもやりたくないよね)的な、しゃーない感、恩着せがましさが 滲み出ています。②『可能ではあるね』は、今んとこは、いけるかいけないかで言われるといけるね、という回答です。帰りの時点で状況が 変われば、断る(Impossibleになる)可能性もあります。
最後の2重否定(否定語を2つ重ねる)ですが、こんな風に曖昧または控えめな表現になることもあるので知っておいてくださいね。
海野 芽瑠萌(Merumo Unno Thorpe)
日本の進学塾にて英語文法・受験対策で5年以上の指導にあたり、数多くの生徒を関西の有名高校へ合格させる。カナダでは英語教育者としての経験と、自身の留学経験を生かしながら留学エージェントへ勤務、その後語学学校にて更なる経験を積んだ後、2012年、トロントで最大規模の留学エージェントBRAND NEW WAYを起ち上げる。現在トロントマネージャーかつカナダ統括ディレクターとして、実践のみならず知識・教養としても役立つ語学留学の提供を目指す。