YES! WE CAN!|めるものえいご【第8回】
文法書を開けると、canは、“~できる(可能)”“~してもよい(許可)”と書いてあります。さらに、可能の意味で使われている場合、can = be able toで書き換えることができると書いてあります。ableは、形容詞などの後にくっついて“~できる”という意味を加えたり、名詞ならAbilityなど“能力”という意味を表します。それだけ。中学1年生の最初に習う助動詞canは、問題も少なく、間違いもなく、超簡単です。
でも、会話で実際に使うためには、canのイメージをまず捉えましょう。Canは、可能性です。人の場合は能力があるかどうか、と言い換えて下さい。
Volt can run 100 meters in 10 seconds. ボルトは100メートルを10秒以内で走ることができる(=能力がある)
彼はそういう能力を持っていると言っているだけで、いつでもどんな状況下でも走ると言っているわけではありません。
そう考えると、Volt is able to run ~~. と書き換えるのは納得ですね。文字通り、能力があるということをもっと直接的に言ってるだけですから。
では、過去形で、“could”になると、“できた”という意味になるのでしょうか?実際に、ネィティブスピーカーと話していて、なんだかそうじゃなさそう?と思ったことはありませんか?はい、残念ながら英語と日本語は方程式のように簡単にイコールでは結べません。
昨日めっちゃ酔ってたよ。でも、ちゃんと家に帰れたよ。という文で考えてみましょう。え?例文がいつも酒絡みって?笑
I was so drunk last night, but I could get home safe.
日本語なら意味が通る気がしてしまいますが、よくよく考えると、家に帰る能力がありました・・・。あれれ?家に実際帰ったかどうかまで言えてないですよね。この場合は、I was able to get home safeが自然です。日本語で「~できた」と言うと、「できる能力があり、さらにそれを行った」ということまで表すのですが、英語のcouldは過去の可能性や能力だけを指し、実際にしたのかどうかまでは含まないんです。
では、こちらはどうでしょう?
I could go to the party, but I am so tired right now and I wanna stay home.
パーティーに行くことができたよ、でも今めっちゃ疲れてるし、家にいたいよ。
過去?今?いつの話やねん!!!!!と混乱してしまいますが、過去形だからと言って、いつも過去の話をするんじゃないんです。控えめに言う時、仮定の話にも過去形を使います。この文は、「パーティーに(仮に)行こうと思ったら行けるんだけどさ、でも今めっちゃ疲れてるから家にいたいよ。」って感じです。可能性・能力です。過去や現在の既成事実ではないんです。
Can I ~?「~してもいいですか?」という文も、そういうことを私ができる可能性はありますか?(=できるんだったら許可してくれますか?)って感じです。この、可能性や能力、という意味を踏まえて、また現在形に戻ってみると、こんな文も前より意味が分かりやすいんはじゃないでしょうか?
What? John and Me? No way! It cannot be happening. 何?私とジョン?まさか!あり得へんわ!
可能性ゼロなわけです。ジョンが何をしたのかは知りませんが・・・笑。題名のオバマさんの名演説も、事実として「キミたち、できるよ」と言っているのではなく、「やろうと思えばできるんだぜ、俺達!だからやろうぜ!」というメッセージ性を感じ取ることができますね。
感覚が掴めてきましたか?最後に例文を2つ足しておきますね!
I could have done it better! もうちょっとうまくできたはずやのに!(そういった可能性があったができなかった)
You can reach me at this number. この番号でつかまるから。(電話をかけたら、つながって話せる可能性がある)
できる、~してもよい、という意味だけでは全然使いこなせないcan。同じようにその他の助動詞にもいろんな意味が込められていますよ!
海野 芽瑠萌(Merumo Unno Thorpe)
日本の進学塾にて英語文法・受験対策で5年以上の指導にあたり、数多くの生徒を関西の有名高校へ合格させる。カナダでは英語教育者としての経験と、自身の留学経験を生かしながら留学エージェントへ勤務、その後語学学校にて更なる経験を積んだ後、2012年、トロントで最大規模の留学エージェントBRAND NEW WAYを起ち上げる。現在トロントマネージャーかつカナダ統括ディレクターとして、実践のみならず知識・教養としても役立つ語学留学の提供を目指す。