「え?37歳なの!?」大学院の教室をざわつかせた年齢サプライズ|37歳で人生初の海外留学に挑戦中
ポルトガルで留学スタート
ポルトガルに到着しプログラムが始まる初日、学校に向かいながら「若い学生たちと馴染めるだろうか」と不安でした。ヨーロッパでは年齢を気にしない文化だと聞いていたので、最初のうちは聞かれないだろうと思っていましたが、予想に反して多くの学生は初対面で年齢をお互いにたずねあっていました。私も例に漏れず聞かれ、「37歳です」と答えると、ほとんどの子から二度聞かれるほどの反応でした。
というのも、アジア人は若く見えるため、クラスの95%を占める非アジア人の学生たちは私を同世代だと思い込んでいたようです。女子学生たちからは肌のツヤを褒められ、スキンケアの方法を聞かれることもありました。実は私自身、シミが増えていてシミ取りレーザーに行きたいと渇望していたところだったので、これには驚きました。
また、4歳と1歳の2人の子どもがいることを話すと「すごい若い時期に子ども産んだね」と勘違いされることもありました。
授業面では、英語力もクラスで一番できないところからのスタートでした。それに加え文学部出身の私にとって経営学は全く新しい分野です。自分の中であえて年齢については一切考えるのはやめ、一からの気持ちで学ぶように心がけています。
同級生から決して「社会人経験長いんだから知っていて当たり前でしょ」と言われることはなく、むしろ大学でビジネス専攻だった学生がバディ制度を作ってくれて、授業外でわからないことがあったら質問できるようにしてくれるなど、周りに支えられながら学んでいます。
ただ、自己投資として学んでいる私と、親からの支援で学ぶ学生では、授業への取り組み方に違いを感じることも多々あります。学生によってはコースの内容よりも楽に単位を取れそうな授業を選んだり、教室でも後ろの席から埋まっていったり、出席を取らない授業をサボったりする様子は、大学生の頃の自分と周りを思い出すと、日本の大学生と変わらないかもしれないなと思います。
ママの留学が新たなロールモデルに
課外活動では、”Study Hard, Play Hard”の精神が浸透していて、よく学び、よく遊びます。とにかく課題が多く平日は夜にグループワークのミーティングをすることもよくあるのですが、ヨーロッパ域内は数千円のフライト代で様々なところに行けることもあり、土日はヨーロッパの他の国に旅行する様子を友人たちのSNSで毎週のように見かけます。また、イベントの開始が11時からで朝までクラブで飲み明かすこともよくあります。私も最初は付き合いましたが、体力的にきついので、今では上手に断るようにしています。
そんなアラフォーというマイノリティで不安な状態で臨んだ留学でしたが、「ママの留学」は国が違えども女子学生たちに良い影響を与えているようです。何人かの子からこれまでのキャリアについてじっくり話を聞かせてほしいと言われました。20代でこれから就職を控え、仕事も決まっておらず結婚もまだ先で漠然とした不安を抱えている中で、社会人経験があり子育てをしながら大学院で学ぶ私の姿が、新たなロールモデルとなっているようです。
年齢を超えて築いた絆
また、特に日本はジェンダーギャップで世界でも低いランクにいて、日本人女性は結婚したら家庭に入って家族のために身を尽くすというイメージが彼らの中でもかなり強いようです。その固定観念を覆す例外として私の存在が役立っているのかもしれません。今では新しい出会いの際にも積極的に自分の年齢や子育ての経験を話すようになりました。
私自身も、ヨーロッパを中心とした20代の若い世代が何に関心を持ち、将来どんな生き方を望んでいるのかを、友人として直接聞ける貴重な機会を得ています。確かに世代の違いは時に感じます。朝までのパーティーには付き合えず、課題も家族とのビデオ通話の合間をぬって取り組む毎日です。でも、そんな違いも含めて、異なる世代や文化との出会いは私の視野を大きく広げてくれました。年齢を超えて築いたこの絆は、きっと生涯の財産になると確信しています。