あらためて『ニューノーマル』、都市化から開疎化へ|カナダのしがないラーメン屋のアタマの中 第26回

これがニューノーマル
3月にオンタリオ州で緊急事態宣言が発令されてから、はやくも半年が経ちました。宣言自体は7月に終了したものの、普段の生活から学校や仕事にいたるまで、あらゆる領域におよんだ急激な変化は、依然として元に戻る様子はありません。ワクチンが出来るまで、期間としては1年から2年、これがニューノーマルなのだと覚悟を決めたつもりでした。
しかし、徐々に経済が再開していくにつれ、なんとなくこのままオープンな流れにいくのかな、と淡い期待を抱いていたのも束の間、日々の新規感染者数が増加し、再び締め付けが強化されました。それにより、売り上げにも再び影響が表れています。頭では分かっていた事でしたが、いちいちバッドニュースに振り回されていても仕方がありませんので、日々の目まぐるしい状況の変化も含めて、これがニューノーマルなんだなと、認識を改めました。
開疎化という概念
さて、この半年間でコロナ関連の話や、コロナによって何が変わるのか、というような言説や記事に数多く触れてきた気がしますが、信憑性のとぼしいものも含めて、あまり記憶に残っていない、というのが正直なところです。その中で、強烈なパワーワードとして記憶に残っているのが、慶応義塾大学教授でヤフーのCSOも務める安宅和人氏が提唱した「開疎化」という概念です。

「閉(Closed)×密(Dense)」な都市化を数千年かけて推し進めてきた結果が現在で、今後は、真逆の「開(Open)×疎(Sparse)」な生活空間の構築に向かうトレンドが訪れるだろう、というシンプルかつ説得力のある話で、今後の物事を判断する上での基準として機能していくだろうと期待しています。
実際、自分のまわりの友人家族がトロントを離れて郊外や田舎に引っ越すという話は、ここ最近明らかに増えています。また、冷凍ラーメンの開発にあたって思いを巡らせる中で、この考え方はいつも頭の片隅に置いてありました。
週に3日ほど、いそいそと冷凍ラーメンをお客様にデリバリーしていると、郊外に行けば行くほど、冷凍ラーメンの需要は高く、いっそお店ごと感染リスクの少ない郊外へ引っ越して、家賃も生活コストも抑えて悠々自適な生活を送れるのではないか、と考えてしまいます。と言うのも、高い家賃を払う代わりに人口密度の高いエリアにお店を構え、回転率をあげ、いかに効率よくお客さんに商品を提供して帰っていただくか、というのが飲食店の常態でしたが、コロナ禍においてはそのモデル自体が破綻しています。どんなメリットに対して高い家賃を払っているのかわからない以上、経営判断として、戦略自体を変えて動かざるを得ないのが現実です。
新たに生まれる ビジネスチャンス
本当に1年から2年、現在の状況がニューノーマルとして続くならば、コロナ収束後も第二、第三のコロナウイルスがやってくるという説も本気でその可能性を受け入れて、考えていく必要があるでしょう。
都市は確かに便利で効率がよく刺激的です。それ自体を否定するわけではありませんが、そこでしか生きられないというのはあまりに窮屈な話です。開疎化が進んで人々の分散や都市の解体が起これば、郊外や田舎には新たなサービスや需要が生まれ、当然ビジネスチャンスが生まれます。
変化はたしかに億劫で面倒な側面もありますが、自分は飽きっぽい性格なので、世の中がそちらに流れれば、間違いなくそちらに行くんだろうな、とぼんやり考えている今日この頃です。

「雷神」共同経営者 兼 店長 吉田洋史
ラーメントークはもちろん、自分の興味や、趣味の音楽、経営のことや子育てのことなど、思うままにいろんな話題に触れていきます。とは言え、やはりこちらもラーメン屋。熱がこもってしまったらすいません。













