TORJA読者旅行記#55 スウェーデン
#055 スウェーデン
今月のレポーター Kanahoさん
私が人生で初めて降り立った海外の国。それがスウェーデンである。ヨーロッパの北の方にある国というなんとも大雑把な印象しかなかった私とスウェーデンを繋いでくれたのは、そちらに移住して四年ほど経つ姉の存在だった。最近では日本でも市民権を得ているIKEAとH&Mの発祥の地として知られるスウェーデン。私が今回向かった地は、スウェーデン第二の都市とも言われるヨーテボリだ。初めての滞在であったが、都会すぎず田舎すぎず、自然と街の両サイドが楽しめる“ちょうどいい街”であった。
まず街に出るにはバスや路面電車を使うのが非常に便利である。一回お金を払えば一定の時間内は何度でも乗り継ぎが可能。最初は時間を計算するのが煩わしくも感じたのだが、一週間もいればそのシステムの心地よさに気づく。街を駆け抜ける青いアコーディオンバスは、なんとVOLVO社製。人生初のVOLVOをこんなところで経験できるとは夢にも思っていなかった。街の中心部に着き一度バスを降りれば、果てしなく続いてゆく白の石畳の道。初心者にとってはそこを長時間歩き続けることは少々辛いものがあるが、聳え立つ建築物たち一つ一つがまるで写真集の中から飛び出してきたかのように美しく、気付けばそんな辛さなど一切忘れてしまっていた。
街の中で目立つのはやはりインテリア雑貨のお店だ。数が多いことに加え、お店によってがらりとテイストの違うデザインを発見でき、そのアイディアを見ているだけでも楽しい。
お店に入ると、“Hej.(ヘイ=こんにちは)”と声をかけてくれるスウェーデンの店員さん。挨拶のバリエーションとして、これを二回続けて“Hej, hej.”ということもあるのだが、なんとも言えないその可愛らしい響きの虜になってしまった(ヘイヘイ!と素早くいうのがコツ)。そして何やら窓にKawaiiと書かれたお店を発見。原宿の雑貨屋さんをそのままここに持ってきたのかな?と思うほど、その名の通り日本の可愛いグッズが所狭しと並ぶ店内では、スウェーデンの若い女の子たちが買い物を楽しんでいる。このお店以外にも街中にはお寿司屋さんが沢山あり、日本文化がここにも広がっているのだなあと嬉しくなった。
街の散策を終えた後は、スウェーデンの豊かな自然をぜひとも堪能してほしい。国土の6割が森林に覆われ、1割は湖や川が占めるという自然大国スウェーデン。私の滞在していた場所から割と近くにも大きな森と湖があり、滞在期間中はよくそこに足を運んだ。森の中ではパートナーと一緒に走る人や、自転車の後ろに子供用ワゴンを連結させてサイクリングをする人など、友人同士や家族でスポーツに勤しむスウェーデン人の姿があり、彼らの健康意識の高さに驚かされた。
そして湖畔にはフリーのBBQスペースがいくつもあり、いつも誰かがパーティーをしている。スウェーデン人は夏が大好きなことで有名であり、日の長くなる夏の時期は、家族や友人らと食材を持ち寄り、BBQを楽しむというのが恒例だそうだ。何を隠そう、私もスウェーデン流の夏の楽しみ方を満喫したその1人である。心地の良い風を頬に感じ、湖を眺めながら食べたあのお肉の味は一生忘れないだろう。余談だが、スウェーデンにはトナカイのお肉や豚の血を固めたお肉など変わり種が沢山あるので、是非一度お試しあれ。
街中どこに行こうとも、シンプルさの中に温かみと実用性が共存するスウェーデンスタイル。それを生み出した彼らは地に足のついた堅実な人々というのが私の印象だ。フレンドリーすぎず、かといって冷たいわけでもない彼らの距離感、そしてちょっぴりシャイな国民性はどこか日本人にも通ずるものがある。今回二度目の滞在であったが、じわじわとスウェーデンの魅力にはまっている自分がいる。オシャレな街並みとキメすぎない人々のバランスが心地よいスウェーデンで、リラックスした休暇を満喫してほしい。
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