晴天霹靂のトラブルを乗り越えて #09
salon bespoke オーナーHiroの「晴天霹靂のトラブルを乗り越えて…」
2011年5月にYonge St×Yorkville Aveにオープンし、2014年8月にはYorkvilleエリアの中心Big Rock真向かいのCumberlandに移転したsalonbespoke。オープンして3年の間に移転を余儀なくされたトラブルに見舞われたオーナーのHiroさんのお話を聞き、このカナダでビジネスをしている方、起業を心がけている方のために、少しでも同じようなトラブルや被害を減らすため、Hiroさんのご協力のもと、実際の起きたトラブルの詳細を連載していきます。第2章は新店編と題し、新たな物件探しや契約、引っ越しなど色々起きた問題をお話いただきます。
第9回 「第2章 一か八かの大勝負」
第1章で語られた新契約書サイン後に新たな物件を探し始めたHiroさん達。人気高級エリアでの物件探しは難航し、営業中のYonge St.沿いのサロン物件から出て行く時期も迫り、平行線を辿る物件Aとの交渉を何としても前に進める必要があった。
相手がこちらの要求を受ける様子はなく、Hiroさん達もメンテナンス費とは別にテナント敷地外のビル全体の修理費が掛かる点と火災や事故などでビルが大きな損害をした際にはテナントが支払う点の2点を譲ることはできない。交渉前進が難しいのであればデポジットは戻ってこないが仮契約を白紙に戻し、新しく見つけた物件Bとの交渉に進もうとしたのだ。もちろん仮契約サインを理由に、次のテナントが見つかるまでなどの家賃×数ヶ月分、もしくは最低でもデポジット以上額を請求される危険性がある、と弁護士に忠告されたが話し合い、悩み抜いた末に、一か八かの大勝負に出た。
既に払ったデポジットを失うのは惜しかったが、これ以上無意味な時間は掛けられないと「デポジットはあげるから、仮契約も無かったことにしよう」と物件Aのオーナーにオファーを出したのだ。だが、そこからの展開は早かった。物件Aのオーナー側としてもせっかく見つけたHiroさん達テナントを失いたくなかったようで、上記2点の妥協案が即座に送られてきた。Hiroさん達が主張する常識的な条件が通った形となったのだ。Hiroさん達はその時点では物件Bの魅力に惹かれ、後ろ髪を引かれる思いではあったが物件Aのオーナーに譲歩案まで提案され、仮契約まで至っていたことを考慮すると物件Aとは正式リースにサインせざるを得なかった。
物件Aとの正式リースをサインした2週間後に不動産関係のお客様からHiroさん達が渋々諦めた物件Bが入ったビルが2年後に取り壊しになるとの情報を教えて貰った。「これでもし物件Bに決まっていたら僕らは完全に終わっていました」と血の気が引く思いをしたと教えてくれた。
またHiroさんは今回のリース契約を通して、全てに関してまた必ずいつもという訳ではないが、状況や相手によっては何でも言ったもの勝ちになってしまう国であるというカナダの恐ろしい一面を学ぶことができたとコメントしてる。また時間の掛かるイメージのある引越し、リノベーションは書類面では面倒も多かったようだが、K.O.S Designの綺麗、丁寧かつ早い仕事で、実想像以上にスムーズに終了することができたようだ。
Hiro さん
名古屋出身。日本国内のサロン数店舗を経て渡加。若い頃から憧れた、NYのサロンや Vidal Sassoon からの誘いを断り、世界中に展開するサロン TONI&GUY(トロント店)へ就職。1年目から著名人の担当や撮影等も経験し、一躍トップスタイリストへ。その後、日本帰国や中米滞在を経て、再び、トロントのTONI&GUYへ復帰。クリエイティブディレクターとして活躍し、北米Top10も受賞。2011年に salon bespoke をオープン。2014年8月にはYorkvilleエリアの中心地に移転した。
salon bespoke
Tel: 647-346-8468 / 130 Cumberland.St 2nd floor / salonbespoke.ca