晴天霹靂のトラブルを乗り越えて #07
salon bespoke オーナーHiroの「晴天霹靂のトラブルを乗り越えて…」
2011年5月にYonge St×Yorkville Aveにオープンし、2014年8月にはYorkvilleエリアの中心Big Rock真向かいのCumberlandに移転したsalonbespoke。オープンして3年の間に移転を余儀なくされたトラブルに見舞われたオーナーのHiroさんのお話を聞き、このカナダでビジネスをしている方、起業を心がけている方のために、少しでも同じようなトラブルや被害を減らすため、Hiroさんのご協力のもと、実際の起きたトラブルの詳細を連載していきます。
第7回「第1章 最終回 トラブルからの解放」
オープンからたった7ヶ月後の2011年12月、クリスマス前の忙しい週末に現れビル売却の書類にサインを迫った前オーナー。そこから始まったHiroさん達の悪夢は2013年1月に新オーナーと双方が合意した契約書にサインできるまでの1年以上続き、相手がわからない不安感や、ただただ上がり続けていく家賃に眠れない日々を過ごした。一見、契約を交わすことで解決したように見えたが実際はHydroメーターの不備及びごまかしや、デポジット等のお金のやり取りが契約終了の2014年8月になっても解決せず、事の発端から実に丸3年、すべての事態に収束がついたのは2014年12月24日、皮肉にもクリスマスイブだった。
今回のインタビュー連載に合わせてHiroさんに当時の心境を伺ったが「途中からは感情もネガティブに複雑だし、辛過ぎて覚えていない。とりあえず簡単に一言なんかでは表現できない」との答えだった。正体のわからない相手とのやり取りに対する不安感、正体発覚後もコンドミニアムのディベロッパーという巨大な組織の理不尽に振り回される逆境が続く中で「精神的にも完全な敗北感と、永遠に続くような絶望感だった」
と語るHiroさん。
「本当に、たまたま入ってきたChina Panda のオーナーが全てをひっくり返してくれただけです。2013年1月の契約終結か、デポジット関連のお金のやり取りまで終えた2014年クリスマスイブか。とにかくすべてが終わった今、結果論としていえることはただ単にラッキーでした」
今までも人生の分岐点でトラブルが起きてもそれらを乗り越え、ご自身の経験、キャリアアップに上手く変えてきた経緯のあるHiroさん。ニューヨーク進出を計画した際には9.11テロが起き、行き先をトロントへ変更。その1年後、Vidal Sassoonトロント就職の話をもらうがVISAが間に合わず水の泡。しかし、その1ヶ月後に世界的な有名サロン TONI&GUY トロント店へ就職。そして、やはりVISAの関係上でカナダ出国を余儀なくされた際には、日本で美容技術力アップ等だけでなく、愛知万博を通し世界中の人々と友達になり、かけがえのない最高な出会い/経験をするだけでなく、その後のグアテマラへのスペイン語留学のきっかけ作りにもした。これらの出来事を全てマイナスからプラスに変換し、そして何かを吸収して成長する、それがHiroさんの性格の特徴であり、今のご自身の人間力にもなっているようだ。
Hiroさん曰く、「今回の不動産トラブルを通しても自分的には改めて、転んでもただでは起き上がらない/七転び八起き的な人間なんだという性格を再認識しただけです。今の僕の方がずっと強くなれたので。今回の事も今となっては、『ウチにもサンタさんが来たぁ~!! ただ、ソリ乗って煙突から現れたヒゲ付きおじいちゃんでもなく、プレゼント入りの大きな白い袋もなく、イブ当日にバイク乗って階段登ってサロンへ現れた、汗付きオバチャンが白い封筒のプレゼントを持って来たぁ~』と話をネタにして笑っています。笑う門には福来るって言うじゃないですか」
まるで何事も無かったかのように、そう語る今のHiroさんの笑顔には、明らかに今回のトラブルから解消された開放感と安堵感に溢れていた。(続く)
Hiro さん
名古屋出身。日本国内のサロン数店舗を経て渡加。若い頃から憧れた、NYのサロンや Vidal Sassoon からの誘いを断り、世界中に展開するサロン TONI&GUY(トロント店)へ就職。1年目から著名人の担当や撮影等も経験し、一躍トップスタイリストへ。その後、日本帰国や中米滞在を経て、再び、トロントのTONI&GUYへ復帰。クリエイティブディレクターとして活躍し、北米Top10も受賞。2011年に salon bespoke をオープン。2014年8月にはYorkvilleエリアの中心地に移転した。
salon bespoke
Tel: 647-346-8468 / 130 Cumberland.St 2nd floor / salonbespoke.ca