晴天霹靂のトラブルを乗り越えて #05
salon bespoke オーナーHiroの「晴天霹靂のトラブルを乗り越えて…」
2011年5月にYonge St×Yorkville Aveにオープンし、2014年8月にはYorkvilleエリアの中心Big Rock真向かいのCumberlandに移転したsalonbespoke。オープンして3年の間に移転を余儀なくされたトラブルに見舞われたオーナーのHiroさんのお話を聞き、このカナダでビジネスをしている方、起業を心がけている方のために、少しでも同じようなトラブルや被害を減らすため、Hiroさんのご協力のもと、実際の起きたトラブルの詳細を連載していきます。
第5回「事態は収束にむかう」
突然のオーナー交代、2倍に跳ね上がる家賃、弁護士を通して対応するも少しずつ確実に上がる家賃に眠れない日々を過ごしていたHiroさん達の元についに救世主が現れた。新オーナーの正体を教えてくれた2件隣りのアンティーク雑貨屋「China Panda」の女店主は、姑息な手でHiroさん達を追い出そうとする新オーナー、コンドミニアムのディベロッパーに自身のビルを売らないと一蹴し、Hiroさん達の味方についてくれたのだ。
これまでHiroさん達の話に聞く耳を持たなかったディベロッパーもChina Pandaのビル購入に失敗すると今後の計画に大きく支障が出てしまうようで、「正直に言おう、我々は君たちに出ていって欲しいんだ。我々にどうして欲しい?」と初めてまともな話し合いが始まった。
双方弁護士を立ててやり取りを行っていた家賃に関しては、「すでに上がってしまった金額を元に戻すことはできないが、現時点で止めてやる事はできる。」というのが向こうの提案だった。すでに家賃はかなり上がってしまったが、2倍まで上がるよりはマシだと、Hiroさん達はその条件を飲み、移転するまでにどれ位の時間をくれるのかを確認した。まだこのエリアの買収が終わってない事、更にトロント市にコンドミニアム建設の許可証申請など、彼らにもすべき事が複数ある為、まだ1年程はサロン営業をしても構わないという話になった。その結果、ディベロッパーとしっかりとした新しい契約を結ぶことができたのが実に2013年1月末だった。オーナー交代から1年過ぎ、オーナー代理が現れ、弁護士を立ててのやり取りを行ってきた期間は9ヵ月にも及ぶ。「もし、China Pandaの女店主が現れる前に、僕らが心身共に力尽き、戦うのも諦めて相手の希望通りにサインをしてしまってたら、、、と思うとゾッとする」と振り返る。日頃より周囲に自分達の体験談を話す事で、一人でも多くの方に役立てて頂ければと願うHiroさんは、日系コミュニティーにもケーキ屋やパン屋、居酒屋、ラーメン屋といった日本人経営のお店が増えてきている今だからこそ、初期投資の大きいスモールビジネスほど細心の注意を払いながら進めて欲しいという思いを込めて今回弊誌コラムに協力してくれた。その後、「China Panda」の女店主は、ただHiroさん達の事を見届けたかったかの如く、新しい契約の締結後スグに、自分のビルを売却し、店も閉じていなくなってしまった。「突如現れ、そして突然また消えてしまった。僕らにはホントに女神のような方でしたね」とHiroさんは語る。
そして、ここまでで一連のトラブルが落ち着いたように思えたが、「実はまだ・・・」といって話を続けてくれた。(続く)
Hiro さん
名古屋出身。日本国内のサロン数店舗を経て渡加。若い頃から憧れた、NYのサロンや Vidal Sassoon からの誘いを断り、世界中に展開するサロン TONI&GUY(トロント店)へ就職。1年目から著名人の担当や撮影等も経験し、一躍トップスタイリストへ。その後、日本帰国や中米滞在を経て、再び、トロントのTONI&GUYへ復帰。クリエイティブディレクターとして活躍し、北米Top10も受賞。2011年に salon bespoke をオープン。2014年8月にはYorkvilleエリアの中心地に移転した。
salon bespoke
Tel: 647-346-8468 / 130 Cumberland.St 2nd floor / salonbespoke.ca