晴天霹靂のトラブルを乗り越えて #04
salon bespoke オーナーHiroの「晴天霹靂のトラブルを乗り越えて…」
2011年5月にYonge St×Yorkville Aveにオープンし、2014年8月にはYorkvilleエリアの中心Big Rock真向かいのCumberlandに移転したsalonbespoke。オープンして3年の間に移転を余儀なくされたトラブルに見舞われたオーナーのHiroさんのお話を聞き、このカナダでビジネスをしている方、起業を心がけている方のために、少しでも同じようなトラブルや被害を減らすため、Hiroさんのご協力のもと、実際の起きたトラブルの詳細を連載していきます。
第4回「救世主現れる」
オーナーが代わり、突如突きつけられた2倍近くの家賃。双方弁護士を立ててやり取りを行うが、少しずつ確実に家賃は上がり、眠れない日々を過ごすHiroさん達の元に遂に救世主が現れた。
サロンの2件隣で「China Panda」というアンティーク雑貨/家具屋を経営している女性オーナーがHiroさん達の状況を気にかけてサロンを訪ねてくれたのだ。Hiroさん達は、彼女も同じ被害者仲間だと思い、これまでの経緯を説明する。すると、彼女は「力になれることがあったら何でも言って」とHiroさん達を励まし、模索し続けていた新オーナーの正体を教えてくれたのだ。
新オーナーは一個人ではなくコンドミニアムのディベロッパー企業で、サロン周辺のビルを買占めて、大きなコンドミニアムを建てる計画の元に動いていたのだ。 テナントに少しでも長く居続けてもらい、家賃収入を得る事にもメリットはあるが、出来るだけ早く工事を始めるにはHiroさん達のような今後10年もリースのあるテナントはこの計画の障害でしかなかった。その為に時価公示前にも関わらず、上昇の想定を元に家賃のTMI部分を大幅に上げるなどして、追い出そうとしていたのだろう。
China Pandaの女性オーナーは自社ビルで経営をしており、Hiroさん達が時間とお金を掛けてサロンオープンの為に内装をしている頃から「何故、このタイミングでそんな事をするのだろう」と気にしていた。いよいよ自分のビルを売ろうと話を進めている今、彼女の嫌な予感が気になりサロンまで来てくれた。今回の件でディベロッパーに対する信頼を無くした彼女は担当の不動産を呼び出し、Hiroさん達サロンオーナー陣4人と不動産、彼女の6人での話し合いの場を設けてくれた。
「こんなに若い美容師達が時間やお金を費やして、夢の実現へ一生懸命になって、頑張っているのに、最初は雲隠れしたり、やっと現れたら何も言わずに急に家賃を大幅に上げてイジメるなんて酷過ぎるじゃない! そんな事をするなら私はアナタ達なんかに私のビルを売らないわよ!」と不動産を一蹴したのだ。これまで順調にビルを買い上げてきたディベロッパーにとって、China Pandaがあるビル1件だけ買えないとなるとこのコンドミニアム建設計画へ大きな支障となってしまう。そうなっては困ると、今までは「払え、払え」と、全くHiroさん達の言い分に聞き耳を持とうとしなかったデベロッパー側が手の平を返したように態度を変え、「正直に言おう、我々は君達にここから出て行って欲しいんだ。我々にどうして欲しい? 」との話し合いが始まったのだった...(続く)
Hiro さん
名古屋出身。日本国内のサロン数店舗を経て渡加。若い頃から憧れた、NYのサロンや Vidal Sassoon からの誘いを断り、世界中に展開するサロン TONI&GUY(トロント店)へ就職。1年目から著名人の担当や撮影等も経験し、一躍トップスタイリストへ。その後、日本帰国や中米滞在を経て、再び、トロントのTONI&GUYへ復帰。クリエイティブディレクターとして活躍し、北米Top10も受賞。2011年に salon bespoke をオープン。2014年8月にはYorkvilleエリアの中心地に移転した。
salon bespoke
Tel: 647-346-8468 / 130 Cumberland.St 2nd floor / salonbespoke.ca