晴天霹靂のトラブルを乗り越えて #08
salon bespoke オーナーHiroの「晴天霹靂のトラブルを乗り越えて…」
2011年5月にYonge St×Yorkville Aveにオープンし、2014年8月にはYorkvilleエリアの中心Big Rock真向かいのCumberlandに移転したsalonbespoke。オープンして3年の間に移転を余儀なくされたトラブルに見舞われたオーナーのHiroさんのお話を聞き、このカナダでビジネスをしている方、起業を心がけている方のために、少しでも同じようなトラブルや被害を減らすため、Hiroさんのご協力のもと、実際の起きたトラブルの詳細を連載していきます。
第8回「第2章 新店編」
第1章でようやく理不尽なトラブルから解放されたHiroさん達。新たな物件探しは、salon bespoke の顧客様にも距離的にご迷惑をかけない事を第一に考えて、引き続きYorkvilleエリアを中心に行われた。しかしながら、人気高級エリアで、希望のサイズ、値段、条件等を全てクリアする物件を見つけるのには相当な苦労がかかった。
現在、オープンしているCumberland.stの物件も(以下、A)も、実は5年前にインスペクションをして、気に入っていた物件だった。そこに行き着くまでには、第1章で語られた新契約書へのサイン後、2013年まで話は遡る… 当時、Hiroさん達は新たな物件を探し始めていた。以前、見に行った事があり、気に入っていた物件Aがまた空いている事に気付き、Aの不動産にコンタクト開始。しかし直後に、返事がなくなる。2ヶ月後、ビルが新しいオーナーに売却された事が発覚し、新オーナーのもとでAは、売却前に比べてまたもや家賃が約2倍に上がっていた。ガッカリしたその後も、Yorkvilleエリアを中心に徒歩圏内で探し続けるが、他の物件は家賃だけでなく、サイズ、条件等も希望から程遠かった。
とりあえず、Aと値段交渉に入るが、どう話しても以前の値段ほど家賃が下がる訳もない。Aとの交渉を続けながら引き続き、他の物件も見てはいたが、全く見つかりそうにもなく、結果的に2倍にはならずには済んだものの、半年前より大幅に値上がった家賃のAを受け入れるしかなかった。その後、仮契約(数ページ)にサイン。デポジットを入れて、正式なリース契約書(数十ページ)が届き、弁護士にもチェックしてもらう。弁護士からも腑に落ちない箇所が数点あり、Hiroさん達が納得しているのかと確認がある。弁護士の指摘した部分の半分程は、イヤでも相手の要求を飲むしかなさそうだったが、その中の2点だけは、Hiroさん達も絶対に譲れなかったという。その2点は以下の通りだった。
- 月々のメインテナンス費とは別に、屋根や外壁、階段等を含むビル全体(テナント敷地外)の修理費も、テナントで支払う。
- 万が一、火災や事故等でビルが大きな損害したらテナントで払う。
実際に2、3年に1度はヨークビル周辺でビルが全焼する火災は起きていたので、Hiroさん達の保険ではカバーできない為に、特に1は飲める条件ではないと主張する。相手も譲らず、交渉は平行線上をたどった。そんなある日、近所でサロンのビジネス買い取り(リースのテイクオーバー&延長交渉可)という新たな物件が見つかった。内装のテイストなど全てが違い過ぎる為に、そのサロンのビジネスには興味はないが、家賃、場所、サイズ等全てが魅力的だった。交渉が平行線上を辿り続けるAと、当時の営業中だったYonge.st沿いのサロン物件から出ていく時期から逆算しても、色々と期限的にも限界だったHiroさん達は、全員で覚悟を決めて、一か八かのある勝負に出るであった。。。(続く)
名古屋出身。日本国内のサロン数店舗を経て渡加。若い頃から憧れた、NYのサロンや Vidal Sassoon からの誘いを断り、世界中に展開するサロン TONI&GUY(トロント店)へ就職。1年目から著名人の担当や撮影等も経験し、一躍トップスタイリストへ。その後、日本帰国や中米滞在を経て、再び、トロントのTONI&GUYへ復帰。クリエイティブディレクターとして活躍し、北米Top10も受賞。2011年に salon bespoke をオープン。2014年8月にはYorkvilleエリアの中心地に移転した。
salon bespoke
Tel: 647-346-8468 / 130 Cumberland.St 2nd floor / salonbespoke.ca