人気サロンbespoke 移転リニューアルオープン
Yorkville屈指の人気サロンbespoke 苦難を乗り越えYorkville中心に移転リニューアルオープン
2011年にYonge St×Yorkville Aveにオープンした『salon bespoke』。世界的有名サロンTONI&GUYでトップスタイリストとして働いていた4人が共同でオープンした同店は、かなり高いリピーター率を誇り、Yorkvilleエリアでもピカイチの顧客満足度を誇る人気サロンとして知られている。
店名の『bespoke』には“誂える”と言う意味がある。仕立て屋が顧客一人一人に合わせて洋服を作り上げるように、ここ『salon bespoke』ではアシスタントなしで、スタイリストのみによる施術が行われている。些細な髪質の悩みから髪型を選ぶ際の相談までしっかりとコンサルテイションを行い、カット、シャンプー、ブローまで顧客の頭の形、髪質、普段着の雰囲気などを考慮した上でスタイリストがその人の為だけのサービスを提供している。
オーナー4人はトロントの異文化を象徴するかのようにそれぞれが違うバックグラウンド(日本、ベトナム、ポルトガル、イタリア)出身だ。日本人スタイリストの林弘和さん(以下Hiroさん)は日本国内でのサロン勤務後、NY進出を志すが「9.11同時多発テロ」をきっかけに予定を変更して、語学留学のために渡加。Vidal Sassoonの他、有名店の誘いもあったが、世界的な有名サロンTONI&GUYトロント店へ就職。1年目から著名人の担当や撮影等も経験し、一躍トップスタイリストへ。クリエイティブディレクターとして8年勤務後にカナダ人の同僚とともに『salon bespoke』をオープンした。
今回同店が移転に至ったきっかけは、思わぬ不動産トラブルに巻き込まれたことだった。同店が入っているビルのオーナーが、オープン後たった半年で変わることになるのだが、Hiroさんたちへの確認は、狙ったかの如くクリスマス前の一年で一番多忙な中で行われ、弁護士も新旧オーナー間の一連のやり取りに気づくことが出来なかった。ビルの買収後、全く姿を見せない新オーナーが現れるまで4か月間、Hiroさんたちは不安を感じながら新オーナーの情報を、前オーナーやトロント市、弁護士などへの問い合わせを続け連絡先入手に奔走するものの、やっと現れた新オーナー代理の弁護士からは法外な金額の家賃を求められることになり、弁護士同士の戦いが始まっていくことになった。(※一人でも同じような経験の被害者の方を減らすためTORJAではHiroさんにご協力頂き、来月から連載で事件の詳細を掲載していきます。)結果として、サロンのオープンからたった1年半で、その後1年半以内の移転を余儀なくされた。
「Things happen for reasons」と語るHiroさん。移転先はオープン前の4年前にも見学し、Yongeロケーションとの間で迷っていた物件。当時は大切な常連客の方々を考慮してYongeロケーションを選んだが、結果としてこの場所に戻ることになったと明るく笑い、「ベビーカーでのお客様ご来店時には、スタイリストや受付嬢が率先してカートを2階まで運ぶお手伝いを喜んでさせて頂いている」と語る。
同店移転先はBay駅一番西のCumberland出口の目の前、Village of Yorkville Parkの反対側建物の二階部分という絶好のロケーション。Yorkvilleエリアの中でも多くの人に馴染みのある“Big Rock”の真向かいにあるので常連客に新しい場所を伝えるのにも苦労はない。店内はDistillery District にあるアートギャラリーをイメージし、受付のシャンデリアやレンガの壁が特別な時間を演出してくれる。移転初日に来店した家族が、母親のカット中にBigRockで遊ぶ子ども2人と父親とお互いに手を振り合う幸せそうな光景を見てHiroさんは非常に嬉しかったという。ニューヨーク進出や、ヘアショー&撮影等のサロンワーク外を中心とするキャリア作りも出来ただろうが、このトロントという街を選び「今後もショーや撮影もするでしょうが、基本的には、ここで自分を支えて下さっている多くのお客様と共に、一緒に歳を重ねていきたい」と語る。Hiroさんは、自分の仕事をシェフに例えることが多いと言う。「ハサミと言う刃物を使って髪の毛と言う素材を調理させて頂く。お客様一人一人が持ち込む髪の毛と言う素材は一つ一つ違うものであって、それをどのように、そして相手の求めるものを理解して提供できるかが僕らの仕事です。同じ人種や髪質でも、育った環境、各々のテイスト、職種等が違えば求めてくるものは変わってきます。同じ方でも季節によって違いがでてきます。ただ、シェフと違うのは扱わせて頂く素材がお客様の体の一部であるということです。」
Hiroさんは顧客一人ひとりとのコミュニケーションを大切にし、安心して施術を受けられるように信頼関係を築く。初めての人でも先を見据えた満足のいくサービスを提供している。また技術の向上のみならず、“感覚のずれ”がないようにニューヨークへ足を運び、日本の一時帰国を通して東アジアのトレンド、そして美容以外の流行もチェックしているという。顧客の人種、性別、職業、そして子供から大人まで年齢を超えて多くの人に信頼されている技術とサービスのbespokeで自分だけの髪型を誂えてもらってはいかがだろうか。
次号よりHiroさんが経験したコマーシャル物件の賃貸契約のトラブルの体験談を振り返ってもらいながら、これから起業や店舗経営・スモールビジネスを考えている方に糧となる情報を連載していきます。 お楽しみに。
salon bespoke
130 Cumberland St. 2nd floor / 647-346-8468
salonbespoke.ca