桜の季節|お茶コラム
4月といえば日本では入学式や入社の季節でもあり、新しい門出を迎え、フレッシュな気持ちになる月なのではないでしょうか。そんな私もカナダにインターンシップ・プログラムで訪れたのは約20年前の4月でした。日本のような春の陽気を想像していたら、4月なのに10度前後の日もあり、なんと寒い国に来てしまったのだろう…とつくづく感じたのを覚えています。それでも住めば都。今ではセントラルヒートにすっかり慣れ、車に乗るまでの防寒さえ完備すれば、廊下が寒い日本家屋で過ごすよりも快適と感じるようになりました。
ここ最近は頬にあたる風も穏やかになりましたね。これといった理由がなくとも心が晴れやかな気持ちになるのは私だけでしょうか。
茶道の世界は季節を愛でる気持ちを大切にしています。私自身、お稽古をはじめてから季節の移りゆきに敏感になったような気がします。春、夏、秋、冬と、それぞれの季節に相応しいお道具、着物、和菓子、茶花…どんな取り合わせにしようか、思いを巡らすのも茶道を学ぶ楽しさです。
春はなんといっても桜ですね。日本でも桜の季節は、「桜を愛でる茶会」があちらこちらで開かれているようです。
今年はここトロントでも、日系文化会館(JCCC)主催による、桜フェスが開催されるのをご存知でしたか?JCCCは桜の新名所と言っていいほど、桜の季節は多くの人で連日賑わっています。桜フェスは、桜にあわせて4月17日から5月11日までの期間開催されます。
オンタリオ出身のフルート奏者、ロン・コーブさんによる、「お花見」をテーマに琴や三味線など、日本のエッセンスがたっぷり盛り込まれたコンサートをかわきりに、お酒イベントや金継ぎ、つまみ細工など、盛りだくさんの内容になっていますので、JCCCのウェブサイトで日程をチェックしてみて下さい。
私が所属している裏千家トロントでは、お茶のデモンストレーションをします。桜餅と一緒にお抹茶を楽しむことができます。
桜餅は日本人にとって、春の味覚ともいえる和菓子の代表なのではないでしょうか? 桜餅の起源は江戸時代だそうです。長命寺(現在の墨田区向島に位置)の門番であった、山本新六が大量に落ちている桜の葉を塩漬けにしてふるまったところ、人々から好評をうけ、全国に広まったといいます。落ち葉対策の一貫だったことに驚きましたが、その当時から人々にとって桜が特別なものだったことが伺えます。
桜フェスの期間には、桜煎茶も取り扱われます(JCCC売店で購入可能)。こちらは静岡の煎茶をベースに、桜の葉がほんのり香る、季節限定の日本茶です。試飲会は桜フェスの初日。この日はコンサートの前にお花見弁当や桜餅の販売もされるので、是非足をお運びください。

吉田桃代
Tea&Herbal Association Canada公認ティーソムリエ日本茶アドバイザー
日本茶のオンラインストア「Momo Tea」とお茶団体「Nihoncha Canada」を運営。Momo Teaは2015年からトロントのお茶の祭典、Tea Festivalや、日系文化会館の季節のイベントを中心に出店。2023から日本茶の良さをカナダの人に広めたいという想いを込めて、日本茶と日本の文化に特化した「日本茶祭り」を主催。毎年11月第一日曜開催予定。






