屋外イベントと食中毒|トロントの居酒屋風雲児【第43回】
今年の夏は家族で日本に一時帰省したり、BBQやプールなど夏を存分に楽しみましたが、楽しい夏が過ぎるのは本当に早く、気づけばあっという間に9月になってしまいました。2ヶ月以上の夏休みの間、毎日のように外で遊んで真っ黒に日焼けした息子もいよいよ新学期がスタート。今年ももう3分の2が過ぎてしまったかと思うと驚きですが、夏が終わると次はハロウィン、クリスマス、年越しとイベントが続きあっという間に過ぎてしまうので、残すところ4ヶ月間の2019年、悔いのない1年になるように過ごしたいと思います。
今年のトロントの夏は晴れの日も多く気温もそこまで上がらなかったので、過ごしやすかったように思います。そのお陰でプールやBBQなど色々な所に行けましたが、トロントの天気予報は外れることも多く、予定していたBBQをキャンセルしたり、屋外イベントであいにくの雨だったりと、残念なことも何度かありました。特に夏の時期はトロントの各地で毎週のように色々な屋外イベントが多く開催され、私たちも今年もいくつかのイベントに参加しましたが、天気によって来客数が変動するため天気はとても重要になってきます。そのためイベントに参加する数週間前から毎日のように天気予報を確認する日々が続きます。沢山仕込んだのにあいにくの雨で、売れずに残ってしまうのは避けたいし、少なすぎてすぐに売り切れてしまうのも避けたいし、売り上げを予測して適量を仕込むのはとても難しいんです。また屋外での調理になるため、衛生面に関しても細心の注意が必要になってきます。
店舗での仕込みの際、店舗からイベント会場への移動の際、イベント会場での保管、調理、販売と色々な場面で細心の注意が必要です。またイベント会場はいつも働くレストランとは違うため、色々と準備が必要になります。通常はレストランで行われる衛生管理チェックと同様の検査がイベント会場で行われ、温度管理や衛生管理の検査を受け、検査をパスするとイベント会場での調理、販売が許可されるシステムになっています。この検査は検査員によってかなり差が出るため、細かい検査員の場合は色々と大変な場合があります。今までに色々なイベントに参加してきたので、この検査も慣れたものですが、毎回なぜか緊張します。
また屋外イベント以外でも夏は温度や湿度が高く、食中毒に特に気をつけなくてはいけない時期です。冬場に多く見られる『ウィルス性食中毒』とは違い、夏場は『細菌性食中毒』が多く見られます。食中毒予防の3原則は『つけない』『増やさない』『やっつける』です。細菌を『つけない』ために調理器具や手をしっかり洗い、細菌を『増やさない』ように食材を早く調理し、早く食べる。食べない場合は必ず冷蔵庫か冷凍庫で保管する。また細菌を『やっつける』ために調理する場合は、食材をよく加熱する事が重要になります。家庭やレストランでも食中毒が起こる可能性はありますが、夏場はお弁当も特に要注意です。
私の息子は夏休み中もサマーキャンプに通っていたので、妻は夏休み中も毎日お弁当を作ってくれていました。お弁当を作る際は食材に完全に火を通し、温かいものは冷ましてから詰めることが重要で、お弁当箱をしっかり消毒、殺菌することや保冷剤を使うなども効果的です。また生野菜や卵、ポテトサラダは危険です。先日見たテレビではプチトマトのヘタに細菌が多いので、プチトマトを入れる際はヘタを取るだけでもかなり効果があるとのことでした。また梅干しを入れたり、ご飯を炊くときに少しのお酢を入れるなどの工夫もあるようです。
せっかくの楽しい夏なので、夏バテしないためにも衛生面にしっかりと気をつけ、ちゃんとご飯を食べて残り少しの夏を乗り越えましょう。
小笠原 克 Ogasawara Masaru
日本ではファッションブランドGapでアルバイトからマネージャーまで7年間勤務、新規店の立ち上げや日本売り上げNo.1店舗での管理職を経験し、2005年にワーキングホリデーでバンクーバーに渡加。ファッション業界からの転身となるが、調理師免許保持や両親の飲食関係の仕事の影響などもあり、大人気居酒屋Guuでワークビザを取得し男前店で副店長を務める。その後2009年トロントでのFC立ち上げ総責任者に任命されトロントへ。寒い冬でも毎日行列のできる大繁盛店となり、トロントの日本食パイオニアとなる。2014年にはKinkaFamily Inc.の副社長に就任し、居酒屋の他、ラーメン、寿司、焼き鳥などのブランドを管理、2015年10月末GuuとのFC契約終了とともに独立・起業。現在は世界で皆に愛される飲食店を開業できるようにと奮闘中。