3年ぶりのバンクーバーとラーメンビジネス |トロントの居酒屋風雲児【第40回】
いよいよ春らしくなってきましたね〜と始めたいところですが、4月中旬でも雪がちらついたトロント。ハイパークの桜もなかなか咲きませんが、そろそろ春らしくなってほしいものです。
日本では今月から新年号、令和のスタートです。私は平成の半分をカナダで過ごしたせいか、今が平成何年なのかがすぐに分かりませんでしたが、令和は娘の年と同じになるので、今回はすぐに令和何年か分かるのがちょっと嬉しいです。些細な事ですが、カナダにいるとたまにしか書かない日本の書類、日付の欄を記入する度にスマホで平成何年かを確認していたので、この手間がなくなると思うとちょっと嬉しいです。新年号を迎え、また新たなスタートをきる日本ですが、今まで以上の発展や成長も願いますが、平和で安全な暮らしやすい日本になることを切に願います。
つい先日、久しぶりにバンクーバーへ行ってきました。カナダでの生活を始めた場所で約5年間住んでいたこともあり、以前までは空港に着くと帰ってきたなぁという感じがしましたが、今年でトロント生活10年目を迎えることもあり、もうただいま感の無いバンクーバーになっていましたが、やはりバンクーバーは綺麗でいい所だなと再確認しました。トロントと比べるとダウンタウンなどかなり小さく感じますが、海も山もあり自然や気候はやっぱりバンクーバーの方がいいですね。子供の事や老後を考えるとやっぱりいい場所だなと思いました。
3年ぶりのバンクーバーでしたが、やはり飲食店は驚くほど変わっていました。特にラーメン店の数が凄く増えていたように思いました。トロントに無い店も沢山ありましたし、日本からもぞくぞくと出店していて、ダウンタウンのサイズや人口から考えると、トロントよりもラーメン店の数は多いように感じました。またアジア人の人口比率がバンクーバーの方が高いからか、中国系、韓国系も含め、アジア系の飲食店が目立ちましたが、その分やはり競争率も高くなるので、生き残っていくのも難しいように思います。
トロントのラーメン店と比べると価格が1、2ドルほど安いように思いました。また自家製麺をしている店が多く、道を歩いていて製麺しているところが見える店もありました。トロントではあまり見かけない自家製麺のラーメン店ですが、以前ラーメンブランドに携わっていたときに日本から製麺機を輸入してトロントで製麺を考えていたことがあったので、バンクーバーで多くの自家製麺の店を見て驚きました。
自家製麺を行う理由はみなさんご存知ですか?もちろん麺にこだわり、作りたてのおいしい麺にこだわりたいという店主も多くいますが、その他の理由としてコストの面も大きいかと思います。カナダにはラーメンの麺を扱う大手の製麺工場がないので、ほとんどの店は冷凍の麺をアメリカから輸入しています。通常80セント〜1ドルのコストがかかる麺を自分で作ると4分の1ほどで済むと言われています。もちろん製麺機自体は車が1台買えるくらいの高額な物ですが、長い目で見ると悪くない投資かと思います。また冷凍の麺とは違う小麦粉の香りを楽しめたり、他の店とは異なる太さや味の麺を作れるなど色々と利点もありますが、湿度や温度の管理など、製麺は決して簡単なものではありません。
ここ最近では業務用のラーメンスープといわれる濃縮タイプのスープが多く出回っていて、有名な店でも使用していると聞きますが、とてもよく作られているので、お店でガラから炊いているスープとなかなか見分けがつかないと言われています。カナダだけでなく海外でもどんどん増えるラーメン店ですが、今では日本を代表する料理の一つとなっています。見た目がラーメンというだけでなく、気持ちのこもったラーメンを作るお店が今後も増えていくと嬉しく思います。
小笠原 克 Ogasawara Masaru
日本ではファッションブランドGapでアルバイトからマネージャーまで7年間勤務、新規店の立ち上げや日本売り上げNo.1店舗での管理職を経験し、2005年にワーキングホリデーでバンクーバーに渡加。ファッション業界からの転身となるが、調理師免許保持や両親の飲食関係の仕事の影響などもあり、大人気居酒屋Guuでワークビザを取得し男前店で副店長を務める。その後2009年トロントでのFC立ち上げ総責任者に任命されトロントへ。寒い冬でも毎日行列のできる大繁盛店となり、トロントの日本食パイオニアとなる。2014年にはKinkaFamily Inc.の副社長に就任し、居酒屋の他、ラーメン、寿司、焼き鳥などのブランドを管理、2015年10月末GuuとのFC契約終了とともに独立・起業。現在は世界で皆に愛される飲食店を開業できるようにと奮闘中。