トロント市「経済再開への施策」|カナダ・ニューノーマルの時代
国内における新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着きを見せつつあるカナダ。そんな中、未だ感染者数が多いトロントやミシサガ・ブランプトンなどのピール地域でも6月24日水曜日には経済再開の第二ステージが解禁された。連邦政府そして各地方自治体でも街の経済復興において様々な施策が検討されているが、トロント市が取り組む施策に注目したい。
「より静かな道」「主要道路の閉鎖」「サイクリングロードの拡大」
ActiveTO
フィジカル・ディスタンシングを保ちながら市民に安心して体を動かしてもらうための施策として打ち出された「ActiveTO」。市内の道や道路における人口密度、緑化、交通量などを考慮した施策が盛り込まれている。
土曜日の午前6時から日曜日の午後11時まで、主要道路で歩行者天国が導入されるほか、具体的な施策としては、「より静かな道」「主要道路の閉鎖」「サイクリングロードの拡大」などが含まれる。歩行者、ランナー、車椅子、自転車などのスペースを確保すべく、自動車の速度を制限したり、周辺住民の乗用車のみの往来を許可したり、路駐を制限するなど、多くのルールが設けられることになった。
また、より多くのドライバーに注意喚起をするためにも、フィジカル・ディスタンシングを促す標識や看板などが設置されるようになった。中でも細い道路や住宅街周辺に設置されている事が多いこの看板。近所で看板を目にした人も多いのではないだろうか。5月11日の週より導入されているこの施策を活用して、安全を保ちつつ是非ウォーキングやサイクリングを楽しんでもらいたい。
「ピックアップゾーン」「歩行者ゾーン」の設置・スペース拡大
CurbTO
コロナウイルスの感染拡大を防止すべく、飲食店に限らず様々な業種に広がったデリバリーやピックアップサービス。こうした事業をサポートすべく、トロント市は「CurbTO」という名のもと、デリバリー用の「ピックアップゾーン」や列をなす「歩行者ゾーン」の設置・スペース拡大に踏み切った。
例えば、「ピックアップゾーン」ではデリバリーを行う運転手や配送業者に対する駐停車のルールが緩和されている。普段は駐停車が禁止されている場所でも、近隣の住宅への薬や食料品などの配達のためであれば10分まで駐車することが可能になったそうだ。
また、「歩行者ゾーン」では、銀行や小売店で成される列を考慮し、他の客や他の歩行者とのフィジカル・ディスタンシングを保ちながら車道や自転車道にまで列を広げることを許可。入場制限が設けられているスーパーや薬局などでも用いられている事が多い。トロント市のサイトに行くと、これらのゾーンが市内のどこに設けられているかをチェックすることが可能だ。
カフェやレストランの営業再開に伴う取り組み
CaféTO
多くの人が待ち望んでいるカフェやレストランの営業再開に伴う取り組みとして打ち出された「CaféTO」。これからテラス席や屋外席のみの営業再開が許可される飲食店のために、営業再開のためのガイドラインや必要事項がトロント市のウェブサイトに公開されている。
中には、トロント・パブリック・ヘルスのルールに基づいたガイドラインや、より多くの人に利用してもらうための「アクセシビリティ」に関するガイドラインなどが含まれている。具体的には、テラス席を設けるにあたりテントなどの屋根を設置してはいけないことや、雨天により客を店内に移動させなければいけない場合、店内の稼働率が50%を超えてはならないことなどが盛り込まれている。
また、テーブルの間には2メートルの距離を保ち、テーブルごとの人数を6人までに制限すること、さらにはテラス席の外に歩行者のために2.1メートルのスペースを確保することなど、多くの規制が設けられている。
テラス席の営業再開を希望する飲食店はこの書類に示されている必要事項を満たす必要があり、営業再開への申請はトロント市のウェブサイトにて行う事が可能だそうだ。
トリニティ・ベルウッズ・パークやネーサン・フィリップ・スクエアなど、22箇所で営業再開
Farmer’s Market
6月の中旬より、トロント市内のファーマーズ・マーケットが徐々に営業を再開している。トリニティ・ベルウッズ・パークやネーサン・フィリップ・スクエアなど、22箇所で市によるファーマーズ・マーケットが順次営業を再開するという。他のファーマーズ・マーケットを運営している組織に対しては、トロント市が許可を出した上で営業再開が許されるという。
また、中でも特に有名なファーマーズマーケットの一つ、セントローレンス・マーケットが取り入れている営業方法も同ページに記述されている。感染拡大防止への取り組みとして、入り口にて検査が行われることや、フィジカル・ディスタンシングの徹底、さらに事前に注文することやデリバリーの推奨など、他のファーマーズ・マーケットの指針となるようなガイドラインや取り組みが示されている。
また、「むやみに商品を触らない」「事前に何を購入するかを決めておく」「一人で訪れることを推奨」など、ファーマーズ・マーケットを訪れる消費者に対するアドバイスが促されている。
サマーキャンプなど夏のプログラムが解禁!
今年は宿泊型が許可されないのが残念!
CampTO
7月13日より、市内にある子供用のサマーキャンプの営業が再開されることが発表された。6歳から12歳の子供に向けた3万2000ものサマーキャンプが対象になるという。各キャンプにてコロナウイルスの感染拡大を防止すべく、営業再開へのガイドラインを教育省がウェブサイトに公開されている。中には人数の制限、フィジカル・ディスタンシング、検査の義務化、施設の清掃強化などを必須としている。
トロント市内では6月末から参加者の申請・登録を開始されている。子ども達の夏の楽しみの一つでもあるサマーキャンプ。台無しにしないためにも、「楽しみ」と「安全」を両立することが課題とされている。
保育施設・営業再開のガイドライン
Childcare Centres
6月29日よりトロント市の保育施設が営業を再開することを踏まえ、営業再開に伴うガイドラインの数々が公開されている。多くの人、そして子供が集まる箇所として感染拡大が恐れられている保育施設。しかし、共働きなどをしている家庭には欠かせない。そのためにも、トロント市は今回、営業再開に伴う具体的な施策を公開。
中には、施設で感染者が出た場合の対応、施設の消毒や清掃の強化、さらにはフィジカル・ディスタンシングを保つための送り迎え方法など、施設側と利用者側の両方で感染拡大を抑えるための方法が盛り込まれている。
新型コロナウイルスを受け、給付金の一部として政府は今まで子供を持つ世帯に対する資金援助を行なっていた。しかし、保育施設が営業を再開することを受け、6月26日でこれを終了する旨も発表した。
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