【第十回】日本国籍に戻したい!|ACROSEED|知って安心!海外と日本をつなぐ法務サポート

最近、少しずつ増えているご相談があります。それは「もともと日本国籍だったけれど、国際結婚をきっかけに外国籍を取得し、将来は日本で暮らしたい」という方からのものです。典型的なのはこんなケースです。
日本人の女性がカナダ人の男性と結婚し、カナダで生活を始める。現地でお子さんも生まれ、国籍はカナダに。日本は二重国籍を認めていないため、日本国籍は結果として失われます。子育てが一段落し、お子さんが独立。夫婦二人の生活が始まった頃、ふと将来を考えるようになります。
「物価が比較的安い」、「サービスがきめ細かい」、「食べ物がおいしい」、「治安がいい」、「医療の質が高く、費用も抑えられる」そう考えると、老後は日本で暮らしたい。
でも、気づけば夫婦ともにカナダ国籍。「このまま日本に住めるの?」そんな不安から、相談に来られる方が多い印象です。
ちなみに不思議なことに、今のところご相談はほぼすべて元日本人の「女性」からです。国際結婚した男性が外国籍を取得するケースが特別少ないとは思わないのですが、なぜか女性からのご相談が続いています。
さて、この場合、日本での生活には大きく二つの選択肢があります。
一つは、外国人として日本で暮らすという方法。在留資格は「日本人の配偶者等」です。「等」には日本人の実子も含まれるので、国際結婚かどうかは関係ありません。生活面での不利は、実はそれほど大きくありません。「年金がもらえない」「医療費が高くなる」といった心配をされる方もいますが、実際には大きな差はありません。ただし、在留期間の更新や、永住権を取得するまでの不安定さは、どうしても気になるところです。もう一つは、日本国籍に戻して、日本人として暮らすという方法です。この場合、在留手続きは不要になり、福祉サービスもすべて利用できます。長く日本で生活する前提なら、手続き面でも気持ちの面でも楽なのは確かです。もっとも、日本国籍に戻るには帰化申請が必要になります。とはいえ、元日本人であれば「簡易帰化」が利用でき、一般的な帰化よりも要件は緩和されています。通常は5 年以上の居住が求められますが、元日本人の場合、原則として入国後すぐに申請が可能です。ただし、収入や生活基盤についての審査はしっかり行われます。安定した仕事や年金収入など、「日本で自立して生活できるか」は重要なポイントです。
どちらが良いかは、本当に人それぞれです。外国人として暮らす場合でも、「日本人の配偶者等」で来日し、3年ほど滞在して永住権を申請。審査期間を含めれば、最短で4年程度で安定した生活に移る方もいます。
一方、帰化申請は早ければ6か月~1年ほどで結果が出ることもあり、スピード感だけで見れば帰化の方が早いケースもあります。
なお、注意点があります。いずれの道を選ぶ場合でも、最初の来日は「日本人の配偶者等」である必要があります。観光目的の「短期滞在」からは、帰化申請はできないからです。そのため、まずは「日本人の配偶者等」で来日し、日本で生活しながら考える、という選択をされる方も少なくありません。
実際に判断を分けるのは、来日後に安定した仕事や収入が確保できるか。そして、カナダ国籍を手放すことについて、ご主人がどう考えるか。この二点が大きいように感じます。
帰化申請は、家族全員で行う必要はありません。奥さんだけ、あるいは奥さんとお子さんだけで申請することも可能です。ただ、家族の形や気持ちの整理が必要になる場面もあります。
もし同じような悩みを抱えている方がいれば、気軽にご相談ください。最終的な選択はご本人次第ですが、これまでの事例を踏まえた情報をお伝えすることはできます。
「どちらが正解か」を決めるのではなく、納得できる選択を一緒に考える。そんな関わり方ができればと思っています。





