鎧をつけたアスリートたち|オリンピック選手もサポートするカナダ公認マッサージ・セラピストが教える身体と健康【第78回】

先日、腰が痛くてクリニックを訪れた患者さんとの会話の中で高校時代は強豪校で野球をやっていたと言う話を聞きました。全身のコンディションを見てみると「????」な印象を持ちました。野球をするのが難しいと思われる体のコンディションだったからです。
具体的には、①右の肩甲骨が動かない=上手くボールが投げられない?(肩の関節と肩甲骨の連動した動きができない)、②足首の動きが悪い=速く走れない?俊敏な動きができない?(足首の蹴る動きが出来ない)、③本人が改善方法を理解していない(状況が改善される見込みが無い)といった点です。
強豪校の特訓に耐えて、体に疲れが溜まるのはしょうがないと思いますが、その疲れを取らずに①〜③の様なコンディションで翌日の特訓に挑んでも体が動かないであろうし、怪我のリスクも高まります。
一番の問題点は、コーチなどに①〜③の問題点は現役時代にすでに指摘されていたのに改善出来なかった点にあると思います。つまり、問題点を指摘した人たちの指導は「もっとストレッチしておけ!」であり、結果的に何年間も何の改善もされなかった事実です。
マッサージセラピストの私の解決策は…
- ①動きを妨げている筋肉や腱を見つける
- ②問題箇所にあった方法でセルフマッサージをする
- ③改善レベルを確認する です。
日頃の特訓で疲れた筋肉は強い緊張があり、改善不可能なように見えますが、的確な判断、的確な刺激を行えば変化が出てきます。目的や効果があやふやなストレッチを強要するよりも、確実に効果の上がるアプローチを行うべきだと考えています。
この患者さんの場合、10年近く諦めていた①〜③のコンディションが、それぞれ10分程度で明確な改善が見られました。10年前に気がつけば、現役時代のプレーが変わっていたと思われるので非常に残念に思います。
今回このケースをご紹介したのは、この患者さんに限らず世界で争うレベルのアスリートでも同様な事がよくあるからです。
体の疲れを取る方法としてストレッチを始めとした自分で関節を動かすことにより筋肉等の緊張を緩める方法が一般的ですが、自分で直接触ってセルフマッサージする方法は日々のコンディション変化を把握し易く、ポイントを逃さない意味で確実性の高い方法と言えます。
関節や筋肉の疲れが取れずに、重い鎧をつけた様な体で非効率的な練習をするアスリートを無くすために、これからもコンディショニング方法を説明していきたいと思います。

カナダ公認マッサージセラピスト 青嶋 正
日本オリンピック協会/日本スケート連盟強化スタッフ/トレーナー
720 Spadina Ave. Suite 507 スパダイナ駅徒歩2分
電話 テキスト 647-828-0700
tadshiatsu@gmail.com
テキスト、E メールでのご予約をおすすめします。
FEATURE ARTICLES MAY 2022
SDGs・女性とジェンダー平等 in Canada
TORJAと一緒に考えようSDGs企画・第一弾となる今回は「目標5: ジェンダー平等を実現しよう」を取り上げます。カナダで暮らす女性の視点から、ジェンダーギャップや女性の生きやすさなど、日本との比較も交えながら紹介します。