Glass Half Full #6 額縁の無いアート

眉間を寄せ立ちすくむ私。2年前にAGO美術館のピカソ展にて、彼の作品「ヴァイオリン」に出会った時のことです。三角や四角が複雑に重なり合ったその作品は、とても禁欲的で抽象的であり、どこにヴァイオリンがあったのか全く理解できませんでした。彼のキュビズム時代の作品は形態の革命と言われ、一つの視点から複数の視点へ私達を導いた挑戦的な美の始まりでした。
「夢を描く」という表現があるように、夢はアートの如くアブストラクトであり、一人ひとり違う色・形をしていて、何一つ同じものがないかのように思われます。時にピカソの“ヴァイオリン”の様に、他人には理解してもらえないこともあります。また、作風が目まぐるしく変化した画家としてピカソが有名であるように、私達の夢も、その時の出来事や影響された人物によって変わるのは、ごく当たり前のことだと私は思います。
そんな“夢”を追い続ける根性を持っている人は山ほどいます。しかし夢を諦める事が出来る度胸を兼ね備えている人は少ない気がします。諦める事は簡単だと言われますが、果たして自分のプライドを捨て、今まで費やしてきた時間、お金、思いをそう簡単に諦める事が私達にはできるのでしょうか?
静かな美術館でアートを様々な視点から堪能するように、夢の実現が難しくなった時に私達に必要な事は、慌ただしく過ぎ去る日常から距離を置き、夢を全く異なる角度から見出し、新たな可能性を創りだすことだと思います。時にそれは白紙のキャンバスからまた始めることになるかもしれません。しかし、一つの夢を諦める事から生まれる複数の可能性の存在に私達は気が付くべきだと思います。
ちょうど去年の今頃、私は長年描き続けていた夢を諦めなくてはいけない覚悟を強いられました。初期の子宮頸癌が見つかった時です。ガンは永住権の発給拒否の対象でした。しかし申請が通った後に判明したことだったので、運よく永住権を取得することが出来ました。その時に私は一つの夢にこだわりすぎる事の危険さに気が付きました。そしてそれからは、訪れたチャンス・可能性を最大限に生かし、違う角度からも自分の夢を描こうと心掛けるようになりました。
あなたの夢は、周りの期待を裏切らないために、世間に認められるために、描かれている枠の中をはみ出さないように塗っていく「ぬりえ」になっていませんか?理解してもらわなくてもいいのです。小さくても大き過ぎてもいいのです。何回も描き直してもいいのです。囚われないで下さい。自分の夢、自分の人生なのですから。
Nana Akimoto
– Teashop 168 Annex店 オーナー兼店長・モデル
1987年横浜生まれ。2007年にカナダへ留学。Georgian College卒業後、某スポーツバーや日本食レストラン等でマネージャーを勤める一方、モデルとしてカナダの新聞や雑誌をはじめ、シンガポールとベネズエラの大手出版社との撮影もこなす等、国際的に活躍もしている。2013年初夏にはバブルティーフランチャイズチェーンで知られるTeashop168 のAnnex店を展開し、今現在オーナー兼店長を勤めている。将来自分のレストランを開けることが夢である。











